名詞編 その4 That の導きとは・・(That 節が主語と目的語と補語に置かれる)

名詞編の4回目となります(名詞の全体図、1回目:無生物主語、2回目:不定詞 3回目:動名詞 ) 今回から*「節」に入ります。

*節はS(主語)V(動詞)がある 句はSVがありません。

That節とは・・

「That節」という怪しい名前は英文法を学習した人は一度は耳にしたことがありかもしれません。That節は一体何者でしょう。

今までは「名詞句」について書きました。不定詞の名詞用法、動名詞に共通する考え方は、「動詞を主語・目的語・補語に置きたいけど、動詞は置けないから動詞を名詞化する」でした。

つまり、Basketball(主語) is fun. バスケットは楽しい。の主語の部分を、「バスケットを見ることを」という文にしたいとき、watch(見る)という動詞を使うと思います。×Watch basketball is fun.と言いたいですが、watchは動詞なので主語に置けません。ですので、Watching(動名詞) To watch(不定詞)と名詞の形にして主語に置けるようにする、という話でした。

ではThat節は・・・文章を名詞化する

どういうこと??と思うと思います。主語から見ていきます。

That節 主語のパターン

 That he is clever(S) is obvious. 彼が賢いということは明らかです。

この例文では、That he is cleverが主語になります。「彼が賢いということは」という、主語と動詞がついている文章(節)が主語になっているのがわかるかと思います。

もし、×He is clever is obvious.という文だったとしたら、聞いてる人はHe is clever で文章が終わる文だと誤解してしまいます。それを避けるため、頭にThatをつけることで、聞いている人は「これは主語なんだな」と気づけるわけです。Thatは、ここからが主語です・・と、それ以下の文を「導いて」います。大事な目印なので、読むときも聞くときも、thatから始まったら動詞を探す癖をつけるといいと思います。

とは言え、Thatの主語がなが~くなるとどこまでが主語なのかわかりにくくなるもの・・例えば、「英文法解説」という文法書の例文では‘’That we get a culture shock when we go from one country to another, is a fact. ''という文がありました。この文、太文字の部分が主語です・・Thatから始まる主語がどこまで続いているか、明確に判断できるように意識すると読み方もスムーズになります。

ちなみに、That節は単数扱いですので、TOEICなどの選択問題では注意しましょう。

That節 目的語のパターン (Thatの省略)

He always says (that I should study hard. 彼は、私が一生懸命勉強すべきだということをいつも言う。(彼は私が一生懸命勉強すべきだといつも言う)

同じように、SVがついた文章が目的語になることも可能です。一般的に、上の例文のように。say,tell, thinkなどの日常的な動詞のときは、thatは省略されることが多いです。一方で、admit(認める)inform(知らせる)suggest(提案する)など書き言葉が動詞に来るときはあまり省略されません。

もう一つ注意すべきなのは、in、expectを除いて、動名詞のように前置詞の後につくことはないので気をつけましょう。目的語のパターンは、時制が日本語と違う考え方をしてややこしいので、最後にまとめます。

That節 補語のパターン

The trouble is that we have no money. 問題は、私たちがお金を持っていないということです。

補語は主語とイコールになる関係でした。例文でいうと、the trouble(問題は)が主語です。 isのbe動詞が算数の「=」の役割を果たし、問題は=私たちがお金を持っていない(補語)という形です。この場合も補語の名詞がSVのついた文章になっていて、thatが「ここから先が名詞節です。」というように目印になって導いている、ということです。

ここからはオマケ・・・

that ついでに、it と that はどう違うのでしょう

今回、that節の基本的な考え方として、「ここからが主語ですよ、と以下の文を導く」働きがあると書きました。これを理解すると、it と that はどう違うの?という点も理解できると思います。

it も that も「それ」使い方の違いは・・

上で書いた通り、that は「以下の文を導く」役割なので、「文章を導いている」のですが、it は文章の中の特定の何か、を指して「それ」というニュアンスの違いで理解すればいいと思います。

例えば、How about dinner tonight? (今夜夕食でもいかがですか?)と聞かれたら、That sounds good.(それはいいですね)と答えるのが普通です。なぜなら、thatは文全体を導いているので、「今夜食事に行くこと」という文全体に対して「いいね sounds good)」と言っているのです。

一方、I like basketball.(私はバスケットが好き)に対し、I like it,too. (私もそれが好きです)と答えます。この場合は文全体というより、basketballという特定の物に対して「それ」と言っているということです。

That節と時制

もう一つ、日本人を悩ませるのは時制の一致というルールです。

①例えば・・主節が過去で、that節の目的語パターンの文章を、過去形にあわせる場合。

I though that she was beautiful. (私は彼女が美しいと思いました)

という文章では、that節の中がwasという過去形になっています。つまり、日本語だと、彼女は今も美しいはずだから ×I thought that she is beautiful. と言いたくなるのですね。この場合、述語動詞が過去形の場合(思った(thought) )that節の中の時制も引きずらて過去形になる、というルールがあります。

あまり難しく考える必要はなく、私が「思った」とき、「思った内容も過去」と考えればいいだけです。思った時点=彼女は美しい ということです。

名前を聞き返すときも、What did you say your name was? というように自然に使われます。

②That節の中が、主節よりも昔の場合

 I thought that she had been beautiful. 私は彼女がきれいだったということを思った。

ちょっと失礼ですが、「思った」時点より前で「彼女が美しかった」という場合、過去完了を使います。 思った時点≠彼女は美しい(もっと以前は美しかった)

That節の時制の一致の例外

時制の一致が使われない例外もあるのでご紹介します。

真理、一般的事実

I learned that the sun rises in the east. 太陽は東から登ると教わりました。 

この場合、太陽が東から登るのは不変の真理なので、現在形になります。

ことわざ

同様に、Time is money.(時は金なり)のようなことわざは、いつも現在形になります。

歴史上の事実

We were taught that the revolutionary war ended in 1783.  私たちはアメリカの独立戦争は1783年に終わったと教わった。

本来はアメリカ独立戦争は「教わった」時より前の出来事なので時制をずらす必要がありますが、過去形のままになります。

仮定法

I wish I were as slim as you.(あなたくらいスリムだったらなぁ)という文章も、I wished I were as slim as you. (あなたくらいスリムだったらなぁと思った)wishedになってもwereのままで大丈夫です。

今も当てはまる事実 (意図的に時制の一致をさせない)

実は、話の内容によっては意図的に時制の一致をさせない場合もあります。(表現のための実践ロイヤル英文法より)

たとえば

Did you know that the film is now out in DVD?  (その映画が今DVDで市販されていることを知っていましたか?)

DVDで「今」市販されている、という事実を意識に上らせるために現在形を使っているのです。

もう一つは

I was told that eventually I will have to have surgery. (私はいずれ手術を受けることになると言われた) 

★この表現だと、手術はまだしておらず、今後手術を受けなければならない、ということをハッキリさせるためにwillのまま残しているのです。

ここまで使い分け出来たら時制の一致はマスターですね。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

 




  • この記事を書いた人

ほんだくん

保有資格: TOEIC920点、英検1級 暗記に頼る文法ではなく、論理的に理解できる英文法を書いています。 長文読解が楽になるための文法、たんなるテクニックではなく、自信を持ってTOEICの文法セクションが解けるための文法知識を提供できれば幸いです。 その他、TOEIC900点越え、英検1級まで取得したノウハウを書いていきます。

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