形容詞編 その5 後置修飾④ 関係詞

いよいよ後置修飾も最後になりました。今回は一番苦手な人が多い、「関係代名詞」です。

形容詞って??という方は形容詞の全体像をご覧ください。 前回までの記事…形容詞編その1:分詞・動名詞 形容詞編その2:不定詞(後置修飾1回目) 形容詞編その3:分詞(後置修飾2回目) 形容詞編その4:前置詞+名詞(後置修飾3回目)

そもそも、修飾って何??という方は「修飾とは」のページをご覧ください。

関係代名詞とは

関係代名詞は、いままでの後置修飾の中でも一番柔軟性がある表現です。ですので、コツさえつかめばとっても使いやすい便利な用法です。

関係詞を一言でいうと

ターゲット(修飾される)の名詞に続いて、その名詞について何かをのべる(説明する)。

ということです。ちなみに、ターゲットの修飾される名詞は「先行詞」と言われます。文法用語が嫌いな方は無視して大丈夫ですし、好きな呼び方をしてください。

例文を見てみましょう。

I know the man who killed her. 私は彼女を殺した男を知っている。

例文ではthe man(男)がターゲットの名詞です。それに続いてwho以下が説明しています。どんな男かというと、「彼女を殺した」男です。という感じです。
 
whoが接着剤のような働きをしてターゲットの名詞の名詞にくっつきます。今までの不定詞、分詞、前置詞+名詞と同じで、名詞に後ろから修飾されているのがわかると思います。
 
くっつくターゲットの名詞が人だったらwhoまたはwhom、 モノや動物だったらwhichになります。thatはどちらでも使えます。
 
それでは具体的に作り方を以下説明します。

関係詞の作り方

関係代名詞の主格の作りかた

先ほどの例文の訳は「私は彼女を殺した男を知っている」ですが、この日本語の要点(主語と述語)は「私は男を知っている」です。修飾(飾り)は「彼女を殺した」ですね。

「彼女を殺した」のは??「男」です。よって、飾りの部分も「男が彼女を殺した」という、主語、述語の文ができますね。つまり、2つの文に分けることができます。これを英語でやると…

I know the man who killed her. → ①I know the man. 【要点】 ②he (the man) killed her. 【修飾語】の2文です。

2つの文を見ると、共通の語があるのがわかります。the man(男)とhe(彼) は同じ人間です。では具体的に関係詞の作り方です。

①まず共通項を見つけます。この場合、the man と he は同じ人間ですね。②次に共通項のうち、代名詞(He)を消して関係代名詞のwhoに変えます。③whoに変えた文を、先行詞(the man)の後ろにつけて完成です。

完成した文を見ると、killed の前に「穴」があるのがわかりますでしょうか??I know the man who ■  killed her. 主語の位置に穴が開いているのが重要です。その穴にはthe man (先行詞)が組み合わさって、修飾語関係になります。

このように、主語に穴があるのを「関係代名詞の主格」などと言われます。 この場合、関係代名詞は先行詞が人ならwho、ものならwhichが使われます。

関係代名詞の目的格の作りかた

She is the girl whom I saw at the party yesterday. 彼女は私が昨日パーティーで見た女の子です。

この文も主格の作り方でやったように、文を2つに分けてみます。まずは日本語を見てみます。述語は「女の子です」主語は「彼女は」よって、文の要点は「彼女は女の子です」ですね。では、修飾しているのは「私が(彼女を)パーティで見た」になります。英語にすると…

She is the girl whom I saw at the party yesterday.  → ① She is the girl. 【要点】 ②  I saw her (the girl) at the party yesterday.【修飾語】

今回も、この2つの文のを関係詞で一つになる方法は主格の時と同じです。

①まず共通項を見つけます。この場合、the girl と her は同じ人間ですね。②次に共通項のうち、代名詞(her)を消して関係代名詞のwhomに変えます。③whomを【修飾語】の文I saw  at the party yesterday.の一番前に置きます。(*ここだけ主格と違います)④できた文をもう一つの共通語(the girl)の直後において完成です。

関係詞で大事になるのは【修飾語】です。主格の時は、共通の語が「he」主語でした。今回は「her」なので、目的語です。目的語が関係代名詞になるので、「目的格」となるわけです。この時はwhom(whoでもOK)にします。先行詞が物の場合はwhichです。

重要なのは【修飾語】の文の中にができることでしたね。She is the girl whom I saw ■ at the party yesterday. I (S) saw (v) ■(O) 目的語のところが穴になっている感覚を忘れないでください。ここでも5文型の知識が重要なのがわかりますね。

目的格のWhom(who) whichは省略できます

学校では目的格の関係代名詞は省略できます。と習いますよね。一方で主格は省略できません。それもそのはず。主格の例文をもう一度見てみます。

I know the man who killed her. → *I know the man killed her. この文を見て、名詞のThat節かな?と思いますよね。 I know (that) the man killed her. 私はその男が彼女を殺したと知っている。と言う意味になってしまい、後置修飾のニュアンスはなくなります。これならまだいいのですが、

また、例えば I saw the girl who loves John. (私はジョンを好きな女の子を見た)という文があったとします。もし* I saw the girl loves John. とすると、赤文字のI saw the girlと青線のthe girl loves John が2つの文がダブって見えてしまいます。意味不明になってしまうので、whoは省略できません。whoが「ここからは修飾です」というサインになります。

一方で目的格の場合はこのような混乱がないので、省略できます。このルールを逆手にとって、名詞の後に主語+動詞が来たら関係詞が省略されていると考えても良いと思います。

関係詞の種類と見分け方 (関係代名詞・関係副詞・関係形容詞)

さて、ここまでは中学生の文法です。高校生になると、関係代名詞だけではなく、関係副詞、関係形容詞が登場します。

関係副詞、関係形容詞…と聞くとゾッとしますが、「副詞」「形容詞」がわかればなんてことはありません。やはり、文型と「品詞」は英語学習で重要です。

関係詞はあくまで後置修飾する「形容詞節」です。★あくまで「関係詞節【修飾語】の内側」で、関係詞が代名詞、副詞、形容詞のどの働きをしているかに注目してください。

関係「代名詞」の場合

作り方でやったように、まずは2つの文で見てみます。

This is a pen I bought ■ yesterday. という文があります。■のところに穴があります。この文を分けると・・・

→this is a pen. 【要点】 + I bought 【it】yesterday. 【修飾語】

穴が it です。I (S) bought (V) ■ (O). 目的語が穴です。目的語は名詞が入りましたね。よって代名詞itが入るので、関係代名詞のwhichを使います。

関係「副詞」の場合

This is the hospital where I visited John last night.

→This is the hospital【要点】+  I visited John last night. 【修飾語】

さすが高校生が学ぶ関係副詞です。文を見てもらうとわかりますが、共通項は??となります。関係副詞は共通項がありません。なぜなら、穴がないからです。副詞編で説明しますが、副詞はSVOのどれにもなりません。よって、 I visited John last night. という修飾語の中は、SVOの穴がないのです。では何がwhereになるの?というと【there】(そこに)です。

参照:5文型とは(副詞はSVOCのどれにもなりません)

よって、この【修飾語】のthe hospitalとの共通項は【there】です。【修飾語】の中に穴がない場合は副詞を疑ってください!これが関係副詞の見分け方です。

This is the hospital where I visited John last night. これは私が昨夜ジョンを訪れた病院です。

→This is the hospital【要点】+  I visited John 【there(副詞)】last night.【修飾語】

次の文と比較してください

This is the hospital which I visited  last night. これは昨夜私が訪れた病院です。

→This is the hospital【要点】+  I visited 【it】 last night. 【修飾語】

今度は修飾語のなかに穴があります。I (S) visited (V) ■ (O) last night. 

visitedの目的語がないので、不完全な文です。よって、穴があるのがわかります。Oに入るのは名詞ですね。よって、itという代名詞が入ります。この文章は関係代名詞の文ということがわかります。

繰り返しになりますが、修飾語の中に穴があるかないか、が関係代名詞と関係副詞の見分け方の基本です。TOEICなどで頻出です。

ちなみに、関係副詞は、先行詞が…

「場所」ならwhere 「時」ならwhen 「理由」ならwhy となります。

関係「形容詞」の場合

I know a girl whose father is a doctor. 私は医者のお父さんがいる女の子を知っている。

→I know a girl 【要点】 +  【her】father is a doctor. 【修飾語】

今回の共通項はa girlと共通はher(彼女の)しかありませんね。her はfatherという名詞を修飾しているので「形容詞」の働きをしています。これを関係形容詞といいます。

形容詞の場合は、whoではなくwhoseを使います。先行詞がモノでもwhoseになりますのでご注意ください。

*whatも関係形容詞とする場合もありますが、このサイトでは疑問詞節としてまとめています。

関係詞の訳し方

次に、関係詞を「どう訳すか」です。

関係詞で注意するのは、返り読みをしないことです。 

先ほどの、She is the girl whom I saw at the party yesterday. という文を訳すとき… 「彼女は私が昨日パーティで見た女の子です」と一気に訳してもいいのですが、初期の段階では「彼女は女の子です。」と頭から意味を言い、「どんな女の子というと、私がパーティで見た」「昨日」のように頭から訳す訓練をすることをお勧め致します。

今まで説明した「後置修飾」は日本語の語順にはないので、どうしても返り読みしていまいます。返り読みをすると遅くなってしまうので、頭から意味を取っていく訓練をしましょう。

制限・非制限用法

関係詞には制限用法と非制限用法という2パターン存在します。それにしても「制限用法」みたいな、イカツイ文法用語って、どうにかならないのでしょうか…用語は固いですが、内容は簡単です。

簡単に言うと、

制限用法:先行詞を限定する 非制限用法:先行詞の追加情報を後付けで追加する。カッコ(   )のようなもの。関係詞の前にコンマ( ,)がつく。

制限用法

 

The eyeglasses which are made in Japan are cool.  (他の国の眼鏡に対して)日本製の眼鏡はカッコいい。

 この場合、日本製の眼鏡、というように限定しています。他の国の眼鏡ではなく、「日本製!」という感じです。
 

非制限用法

 

The eyeglasses, which are made in Japan, are cool.  その眼鏡(日本製)はカッコいい。

こちらは、その眼鏡に対して「ちなみにそれは日本製ですよ~」と補足説明している感じですね。他の国の眼鏡もカッコいいです。という雰囲気です。

何となく違いがつかめますでしょうか。

関係詞が疑問詞節と仲間だという考え方

そもそも、whoやwhichって、もともと中1で「疑問詞」で習いますよね。whoは「誰が~?」whichは「どっちが~?」と習いました。

その疑問詞を節に変形したのを「名詞編」で学びました。「疑問詞節が主語・目的語・補語になるパターン

例えば

I know who killed her.(私は誰が彼を殺したか知っている) という文章は、I (主語)know (動詞)who killed her (目的語) という関係になっているます。who killed herの部分は、knowの目的語ですので、名詞ですね。名詞のところに疑問詞がついた文は「疑問詞節」と呼ばれます。

ではでは、このwho killed her、名詞だけでなく「形容詞」としても使われるのです。

それが I know the man who killed her. という文章です。who killed her自体は、上の名詞節の時と同じ形ですね。しかし、その働きはthe man (男) という名詞にくっついて説明している、つまり形容詞の働きをしているのがわかると思います。

よって、関係代名詞のwho whichはもともと疑問詞→疑問詞節として使われ、それから形容詞節(関係詞)として使われるようになったということです。

それもそのはず、なぜなら関係代名詞のwhichやwhoには「疑問詞節」の名残が残っています。理由は以下のthatとwhichの使い分けでわかります。興味がある方だけお読みいただければと思います。

(おまけ)関係代名詞のthat がwhich whoより好まれる場合

上に書いたように、関係詞はもともと疑問詞先に疑問詞、それから関係詞が順序です。

さて、関係代名詞では先行詞が人間だったらwho モノや動物だったら which と習います。そして、thatはどちらでも使えます。と習いますよね。え?それじゃあ毎回thatを使っておけばいいよね。って思いますが、実はwhich やwhoとthatではビミョ~な違いがあります。

whoとwhichはもともと疑問詞

先ほど書いたように、whoやwhichはもともとは疑問詞です。なので、「選択する気持ち」が含まれます。「誰who」だったら、たくさんの人がいる中から「誰かと言えば…」というニュアンスがあります。whichも「たくさんある中からどれかと言えば…」というニュアンスです。

thatはもともと指示代名詞

一方で、thatはもともと指示代名詞。whichやwhoのような選択の余地はなく、ダイレクトに「あれ」と言う感じで示します。

文法書を見ると「thatを使うのは先行詞に、最上級、the only、the sameなどがつく場合が多いです」と書いてあります。この理由はthatに「特定の対象を指す」という機能があるためです。「どれであるか」というwhichだとちょっと合わないですね。

切迫感の違い

では、それらをふまえて、例文で比べてみます。

(1) I lost the pen which my father gave to me.

(2) I lost the pen that my father gave to me.   

両方とも「私は父が私にくれたペンをなくしました」という意味です。

(1)の文は「私の父がくれたペン 」と限定してますが、whichは選択の雰囲気があるので他にももらったペンがあるうちの1本なんだけどね~という雰囲気ですね。

(2)の文は「私の父がくれたそのペン!」という切迫感があります。thatは特定の対象を示す指示語なので、どのペンでもなく、たった一つのあのペンなんだよ!という意識が生まれます。

今日からは関係詞のwhichとthatはどっちでもいいですよ~って言いづらくなりますねよね。

(おまけ)先行詞(修飾される名詞)につくaとthe

最後に、私が高校生の時、「関係詞の先行詞の前にはいつもtheがつきます」と参考書に書いてあるのを丸暗記していました。今思うと酷い参考書だなぁと思いますが、確かに書いてありました。そんなことを丸暗記していたのも若気の至りなのですが。

しかし、なにかの問題で先行詞にaがついた文章を発見してしまい、学校の英語の先生に先行詞はtheだけではないのですか??と質問した記憶があります。

この事を考えるとき、そもそも、aとtheの違いをしる必要があります。冠詞は日本人にとって難しいですよね。冠詞は別のページでまとめます。

ざっくりいうと

a はたくさんあるうちの一つ

the は特定の一つ(話しても聞き手も共通してわかるもの)

例えば、中学生のAさんとお母さんのBさんが会話をしていて、Aさんが I want a smartphone. というと、たくさんあるスマホのうち、なんでもいいからスマホが欲しい!というような感じです。聞いてるB(お母さん)方も、iPhoneとかいろいろあるけど、とりあえずスマホが欲しいのね。それじゃ安いスマホを買うか。と思います。

一方 Aさんが I want the smartphone. というと、そのスマホというように、AさんとBさんが共通して認識しているスマホを指します。よって、さっきまで話していたiPhoneのことなのね、とB(お母さん)もAさんも特定のスマホを認識しています。

話を関係代名詞に戻します。

Do you know a boy who lives in Fukushima city? (福島市に住んでる男の子を知ってる?)と聞くと「(誰でもいいけど)たくさんいる男の子の中で福島市に住んでる男の子を一人してる?」というニュアンスです。結構漠然としてますね。

では

Do you know the boy who lives in Fukushima city? (福島市に住んでる男の子を知ってる?)と聞くと、質問者も聞き手も、ある程度具体的に「その男の子」という特定の人物をイメージできていて、「福島市に住んでる、例の男の子知ってる?」となるわけです。

先行詞には必ずtheがつく、と書いてある受験用の参考書がいかに乱暴かわかりますね。

かなり長くなってしまいましたが、今回の話は以上になります。今回で形容詞シリーズは終わりです。後置修飾はマスターすると4技能がとても楽になります。次回からは最後の副詞編に進みます。

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございます。




  • この記事を書いた人

ほんだくん

保有資格: TOEIC920点、英検1級 暗記に頼る文法ではなく、論理的に理解できる英文法を書いています。 長文読解が楽になるための文法、たんなるテクニックではなく、自信を持ってTOEICの文法セクションが解けるための文法知識を提供できれば幸いです。 その他、TOEIC900点越え、英検1級まで取得したノウハウを書いていきます。

© 2024 ひとり英語研究所