40年以上、英語教育の現場で教壇に立ち続け、10000人以上の国産ネイティブスピーカーを輩出した鵜沢戸久子先生の新刊がでました。今までの英語教育の集大成と言える本です。

「英語ができる」と言うのはどういう状態でしょうか?テストが解ける、TOEICで点が取れる、英検が取れることでしょうか?しかし、TOEICが取れても話せない人は多くいます。

「相手の言うことを聞いて理解し、自分の言いたいことを、言えて、書ける」シンプルですが、これが「英語ができる」状態ではないでしょうか。

その状態になるために、大人から子供まで、具体的に何をすればいいのか。その方法をわかりやすくすべて説明し、実際のウザワシステムで使っているカナ付きのシート、音声、すべて公開している本です。

この本はただのウザワシステムの紹介本ではありません。これから時代が変わっていくなか、英語教育も今までの古い観念を捨て、新しい方法が必要です。

勉強しているのに、なぜ英語ができないのか

いつの時代にも、日本人は英語ができないと言われます。中学から高校と6年やってもできるようにならない、と言われ続け、今も変わっていません。

2017年のデータですが、TOEFLテストランキングでは、日本は、全170カ国中146位。アジア諸国に限ると下から3番目。北朝鮮より低い。スピーキングに限ると、全170カ国中最下位

2017年でも、この結果・・・けど、私たちはそれなりに英語を勉強しています。それでも147位・・・本当の原因は何でしょうか。

(*ちなみに、TOEFLはアメリカの大学入学などに使う国際的な英語試験です。TOEIC (トーイック)はほとんど日本人と韓国人しか受験しません。)

さすがに、英語力をなんとなくしなければならない、ということで、英語も4技能、コミュニケーションを強化と言う流れになっています。英語試験の民営化が問題になったのも記憶に新しいです。しかし、受験制度を変えたところで、根本的な問題解決にはなりません

世界で146位の英語力が何年も変わらない。原因は日本の英語教育が間違っているからです。

単語の暗記をする、英会話集を暗記する・・・時代は変わっているのに、昭和型の英語学習をしている方は多くありませんか?

最近は、文法を軽視して会話を重視して英語教育をする・・・日本国内で英語をマスターした人の中で、「文法なんて必要ない」と言っている人を私は一人も知りません。日本人は文法ばかりやるから英語ができない、と言われますが、TOEFLのテスト結果を見ても、文法セクションは韓国、中国よりも低いです。(鳥飼 玖美子著「危うし!小学英語」より)

会話が一番大切、と言っている人は、実際に英語を教えたことがある人なのでしょうか?または、英語が話せる人が言っているのでしょうか?

それでは、今までと違う英語学習は、具体的にどうすればいいのか

それが「英語は歴史から学べ」に書かれています。

  • 単語集は今すぐ捨てた方が英語力が伸びる
  • 会話集は会話で全く役に立たない理由
  • 日本の英語の教科書の、世界的に見てもありえない欠点
  • 単語がわからなくても英語がスラスラ読めるようになる練習法
  • 長い英語がスラスラ暗記できる秘密
  • 脳科学に基づいた英語学習
  • 語学の天才シュリーマン、言語学のアインシュタインと呼ばれるチョムスキー博士の理論を英語学習に活かす具体的な方法

一見、常識とは違うように見える英語教育論ですが、今までの「常識」が間違っていたのです。

戦後ずっと続いてきた間違った日本の英語教育を変える本になってほしい。これからの時代、日本人が英語を話せないというだけで損をすることにならないでほしい。と思います。

「英語ができない」が通用しない時代に

今までだったら日本は日本国内でビジネスが成立していたので、英語ができなくても何とかなっていました。日本は国内で産業が成り立っていましたし、海外から入ってくるものも日本向けにローカライズされているので、「結局、英語って受験でしか使わないじゃ~ん」という状態だったと思います。

しかし、、、いつのまにか、日本は「日本は世界第4位の移民受け入れ大国」になっています。政府がどういう政策をしているかなどは割愛させていただきますが、データ(事実)として約128万人(厚生省調べ2017年10月時点)が日本で働いています。

日本はいつのまにか移民大国になっています。

コンビニの店員くらいでしょ?と思うかもしれませんが、エンジニアやITの分野でも優秀な外国人がどんどん入ってきています。当たり前ですが英語はペラペラです。

メルカリの新卒は9割が外国人。LINEはエンジニアを募集するにあたり日本語が必須でないこと明記していて、応募者1,000人のうち800人が外国人だったそうです。パナソニック、ユニクロ、楽天・・・同じ傾向が起きています。

日本企業も優秀な外国人を採用するため必死です。そのためには社内の公用語を英語にするなどの動きもあります。

日本人だから日本国内で優遇される時代は終わりました。政府も日本国内の日本人のため・・という政策はしていません。

時代は変わっています。インターネットの出現で、「国」というものが曖昧になっています。グローバル化、と言うより、ボーダレス化(国境がない)が進んでいると思います。

これからは、英語を話す優秀な外国人と一緒に仕事をしたり、仕事を取り合う時代になります。

英語ができない、ということは、今まで以上に不利になる時代になっていきます。今、行動しなければ、どんどん手遅れになります。

日本は情報に汚染されている

インターネットの到来で、私たちが一日で得る情報量は、江戸時代の1年分、平安時代の一生分とも言われます。

ありとあらゆる情報にあふれていて、ある意味情報に汚染されているともいえる程です。どうやって情報を選ぶのか、とても難しい時代だと思います。

英語学習もたくさんの情報が溢れています。聞くだけで英語はマスターできる。スマホを見るだけで英語は話せるようになる、3文字だけで英語は伝わる、○○式、○○メソッド・・・あらゆる情報で溢れています。

私も英検1級を取得するまで、ありとあらゆる教材に自己投資してきました。かなりの金額になると思います。それでわかったのは、ラクラク、一週間で、○○するだけで、のような教材に役に立つものはありませんでした。そういう本はよく売れるので必ず本屋さんで見かけます。売れているものはすべてダメか、というとそうでもなく、今もあるようですが、高校時代に使っていた「イングリッシュアドベンチャー」という教材はとてもよかったです。受験で言えば、中澤一先生のパラグラフリーディングの教材は海外の大学でも役に立ちました。

私が使っていたのは20年近く前ですが、やっぱりいい教材は無くならないものです。

良い教材、学習法というのは、時代が変わっても残っています。情報が多い時代に1つ判断基準があるとしたら、10年以上続いているか、というのは大切な判断基準だと思います。1年も英語教育に携わっていない方の言うことより、10年以上、顔と名前を出して教えている人を信頼したほうがいいと思います。鵜沢先生は40年以上、英語教育に関わり、毎年毎年、もっと効果的に、効率的に英語を習得させるには・・と試行錯誤し続けてきた方です。

ラクラク、というのをアピールしすぎているのも注意が必要です。

たまに、1年留学すれば英語がペラペラになれますか?などと質問する人がいますが、プロにピアノを習ったら一年でラカンパネラを弾けますか、一年イチローに習えば、甲子園の球児くらい野球がうまくなりますか?というのと似ていると思います。

私もペラペラか?と言われれば、まだまだです。英語学習は残念ながら、そこまで楽な道ではありません。効率的にやれば楽にはなりますが、最低限毎日音を入れたりなどの「インプット」は必要になります。短距離走より、マラソン競技に似ています。

完璧な英語教育はない

英語学習にかかわる人に、一人でも多く読んでほしいと思い、「英語は歴史から学べ」を紹介させて頂きました。

大人向けの本ではありますが、小学生、中学生のお子様がいる方、英語教育に携わっている方、これから英語を学習し始めようといういう方にはぜひ参考にしていただきたいと思います。

この本に書いている方法は、従来の根性学習や受験英語よりは楽であるとはいえ、地道なインプット、毎日の英語のかけ流しなど、継続力は必要となります。コツコツ継続するのが苦手な方には難しい内容かもしれません。数ある英語学習法の1つですので、単語の暗記が好きだったり、理屈で英文を読むのが好きな方もいます。それはそれで悪いわけではないと思います。

自分にあった方法を選ぶのが重要なのは言うまでもありません。今まで学校や塾で習った方法では英語が使えなかった、という方は、新しい学習法の一つとして、参考にしていただければと思います。

これからの時代、英語が話せる日本人が増え、英語が話せないという理由で生きづらくなったり、仕事を失ったりすることがないように、少しでも日本人が生きやすくなることを願っています。