【分詞構文の過去分詞】 述語動詞より「前の時」なのに、完了形にせず、過去形を使う場合。

今回は分詞構文の時制についてです。

分詞構文について、基本的なことはこちらの記事で書いています。

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完了形の分詞

完了形の分詞は何かというと

文の述語動詞の表すときよりも、前の時を表すときに使います。・・ちょっとわかりにくいので、例文で確認しましょう。

Having failed twice, he didn't want to try again. (2度失敗したから、彼はもう一度挑戦したくなかった)

このようにHaving が使われるわけですが、これには理由があります。

「彼が2度失敗した。」ということと、「もう一度挑戦したくなかった」の時間軸を考えてみてください。2度失敗した、というのは、「挑戦したくない」という時間よりも、「過去の事」ですよね。

このように、述語動詞(この場合はdidn't want to)よりも、「前の事」を言う場合は、Having を使うという事です。

同じように、Having lost all my money, I had to give up my plan. (お金をすべて失ったので、計画を諦めなければならなかった)

この場合も、I had to give up my plan の前に お金を失っている、ので、時間は had to give up よりも前に起きたことです。

なので、having を使っているわけです。

Having を使わないパターンに注意!

ここからが本題なのですが、先日、高校生から質問がありました。

Losing my wallet, I reported that to the police. (財布を無くして、警察に届けた)

という文章を見て、「財布を無くしたのは、警察に届けるよりも、前の事ですよね。なぜHaving lost my wallet にならないのですか?

もっともな質問ですね。

色々な文法書を見ましたが、意外に書いていません。唯一、「ロイヤル英文法」にだけ、記載がありました。

ある動作の後に他の動作が続くとき、特に前の動作の完了を強調したり、意味が曖昧になったりすることがなければ、初めの動作を分詞にして前に出す時は、完了形にする必要はない。

つまり、○○して、△△した、のように、動作が続くときは、意味が曖昧にならなければhaving にしなくてもいいですよ、ということです。

Opening the bottle, he poured the wine into my glass. (ボトルを開けると、彼はワインを私のグラスに注いだ)

これも、ワインに注ぐ前に、ボトルを開けたわけですから、having opened にするべきですが、使ってませんね。

これは、ボトルを開けて→注ぐ という一連の動作の流れが続いているので、あえてhaving にする必要はないわけですね。

Losing my wallet, I reported that to the police. (財布を無くして、警察に届けた)も、財布を無くした→警察に届けた。という繋がりがあるので、Having を付ける必要なし、というわけです。

意外に間違いやすいので、注意しましょう!




  • この記事を書いた人

ほんだくん

保有資格: TOEIC920点、英検1級 暗記に頼る文法ではなく、論理的に理解できる英文法を書いています。 長文読解が楽になるための文法、たんなるテクニックではなく、自信を持ってTOEICの文法セクションが解けるための文法知識を提供できれば幸いです。 その他、TOEIC900点越え、英検1級まで取得したノウハウを書いていきます。

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