「be to」の文法が苦手です・・という相談は多いです。特に、英文法の学びが進んでいる方に多いと思います。例えば、You are to go home at 6 p.m. のような文章ですね。さら~っと流せそうな文章ですが、are toで悩んでしまう方が多い・・これには理由があります。
高校以降の不定詞で習うことが多い「be to」の文、TOEICでも頻出です。
なぜ悩んでしまうのか、なぜ苦手意識が多いのか・・それは「意味の丸暗記」をさせられているからです。どういうことですか?というと、「be toの意味は次の5つです。「可能・義務・予定・運命・意思」覚えましょう。」というように学校で暗記させられていませんか?
学習者は頑張って5つの用法を暗記しますが、全く役に立たちません。余談ですが、私の高校時代の英語教師は、「カギヨウイ(鍵用意)」という語呂で覚えてくださいと言っていました。「くっだらないな~」と思って聞いていました(ごめんなさい)が、そういう知識って意外に覚えているから不思議です。おかげで可能、義務・・と何も見ないでも言えるわけです。何事もバカにしてはいけませんね・・
「訳しなさい」的な問題では役立つかもしれませんが、やはり英語文法は「感覚」が抜け落ちると堅苦しくて嫌になってしまいます。無機質に「5つの用法を覚えましょう」と言われてしまうと、興味を失いますよね。
ちなみに、感覚的な英文法についてはNHKでよく出ていらっしゃる大西泰斗先生の本をご一読ください。英文法が生きたものとして理解できて面白いです。参考リンク:ハートで感じる英文法 大西泰斗/ポール・マクベイ著
今回は「Be to」のBeとtoの意味を感じながら、Be toを攻略したいと思います。
もくじ
to不定詞とはそもそも何か?
to不定詞については↓の記事で詳しく書いています。
-
【完全版】不定詞まとめ
「不定詞」という用語は中学校あたりではあまり使わないようですが、どの文法書をみても出てきますよね。中2で英語が嫌いになる原因ナンバーワンだと個人的に思います。TOEICを学んでいる人も苦手に感じている ...
続きを見る
一言でまとめてしまうと、toは前置詞Toの「→のようにどこかに向いている」というイメージと似ています。不定詞に応用すると、「doという行為に向いている」ということになります。言い換えれば、未来志向になるということです。
動名詞はどちらかというと「過去思考」「繰り返し」です。
例文を見れば一目瞭然です。
toとingの違い
Remember to lock the door.(ドアにカギをかけるのを忘れるな)未来
I remember locking the door.(ドアにカギをかけた)過去
to不定詞のポイント
つまり、to不定詞は・・・「これからすること」「行為に向かう・指し示す」のような、予期された行為、未来志向がコアのイメージです
Beのコアとは
それでは、Beのコアはどういう意味があるのでしょうか。
Beは「AがBにある(置かれている)」という意味です。「存在」の意味も含まれています。 I am here. (私はここにいます)というのがわかりやすい例ですね。
AがBにあるのは場所に限らず、「場所」から「状態」に広がります。I am happy. は私は幸せです。→私は幸せな状態です。とも言えますね。この「状態」が進行形や受動態に派生しているわけですが、今回は省略します。
そのBeが先ほどのとto do とくっつくとどうなるか?というと、「このさき何かする (未来志向)to 状態です (be)」というように解釈できます。
それじゃ、結局 be to の意味は??
ながながと説明しましたが、be toは何か??というと、
be to do
「何かこれからする(do)状態(be)に向かう・指し示す(to)」というイメージになります
相手の状態に向かって指し示せば「義務」、出来事の起こる先に向かって指し示せば「運命」、自分の行く先の状態に向かって指し示せば「予定」など・・
細かい暗記をしなくても、「未来の状態に向かっている」感覚がわかっていれば、文脈で感覚的に意味が分かるようになります。
be to do の例文
それでは、これまでのをふまえて、例文で確認したいと思います。それぞれ訳をしてみましょう。
①You are to study English harder.
②The meeting is to be held next Monday.
③He was never to return.
④If you are to succeed, work harder.
⑤No stars are to be seen in the sky.
↓
↓
↓
答え
①義務 あなたはもっと英語を一生懸命勉強すべきです。(あなたはこれから勉強するdo状態beに向かっていますto)
②予定 会議は来週月曜に開かれることになっています。(会議は開かれるdo状態beに向かってます。to)
③運命 かれは2度ともどらなかった(かれは、戻らないdo状態beに向かっていますto)
④意思 もし成功したいなら、もっと一生懸命はたらきなさい (もし成功するdo状態beに向かっているto)なら・・
⑤可能 空に星が一つも見られなかった (星が一つもみえないdo状態beを指示しているto)
仮定法のwere to‥は??if ~should とどう違う??
英文法の学習が進んでいる方の中には、仮定法でもwere to... という表現があるよね、と思う方もいらっしゃると思います。
例文
If the sun were to go out, all living things would die. もし太陽が消滅したら、生物はみな死ぬだろう。
これは、今回紹介した「予定」を表す「be to」表現の過去形です。時制をずらして有り得ない感を出し、「仮に~ということになったら・・・」という仮想の状態を設定しています。
-
would you ~は何故丁寧語なのか? (助動詞と仮定法)
もくじ1 依頼するときに使う助動詞 would2 仮定法って?3 では、なぜwould youは丁寧なんでしょう? 依頼するときに使う助動詞 would 中学英語で助動詞、って習いますよね。 動詞を助 ...
続きを見る
では、同じような仮定法表現で、If ~should という表現もありますね。
例文
If I should miss the train, I would take a taxi. (もし電車を逃したら、タクシーを使います)
こちらは、仮想の世界ではなく、現実世界に関心が向いている表現です。toのような未来に向けての想定というより、未来はまだ来てないため、事実と違うことは想定できないけど、「可能性は低いですが、万が一~になったら・・」というニュアンスになります。なので、toのバリバリ未来志向よりもちょっと現実的な意味になります。
英文法は丸暗記すると感覚が抜け落ちてしまいます。とはいえ、多読多聴が英語感覚の基礎になるのはもちろんです。