時制の一致の例外??それは本当に「例外」なの!?

「時制の一致」というのは、日本人の英文法学習者を悩ませる問題です。

そもそも、日本語と英語の「時間」に対してのとらえ方がまるで違います。日本語は、「私が返ってきた時、彼は勉強しているところでした」のように、過去の事なのに「している」のように現在進行形のような表現を使いますよね。日本語は過去、現在、未来などの時制をあまり使わないので、英語で時制が出てくると「わけわっかんない」状態になってしまいます。

日本語は完了、進行などの「相」を重視する言語なのですね~そのため、時制は分かりにくい文法です。なので、ちょっとルールとずれた文法は「例外や!」と片づけてしまいがちです。今回は、例外と言われがちな「時制の一致」について書いていきます。

時制の一致とは

例えば、「私は、彼がかっこいいと思いました」という日本語を英語にするとき、

I thought that he is was cool. というようにis をwas (過去形)にしなければならない原則です。なぜwasにするかというと、thoughtが「思った」という過去形なので、そのあとのthat以下も、was という過去にしましょうね、というルールです。牛乳パックの賞味期限が切れていたら、中の牛乳も賞味期限切れですね、という理屈です。

時制の一致が適用できないパターン

以上が時制の一致の基本ルールです。

けれど、He told me he is a doctor.(彼は、彼が医者だと言った)という文章もあり得ます。これは、例外?なのでしょうか・・

実は例外ではなく、普通にあり得る英文です。

英語は「現在」を基準にしている!

冒頭で、日本語と英語は時制の考え方が違う、と書きました。

日本語は時制という意識がすくないので、「私が返ってきた時、彼は勉強しているところでした」という表現があり得ます。けれど、

英語の時制の基本

英語は「現在」を基準にしています

どういうことかというと、

He told me he was a doctor. (彼は医者だと言っていた)

現在からみて、言っていたのは過去。彼が医者だったのも、今からみて過去」のこと(今は医者かどうかわからない)ですね。恐らく何年も前の話だろうと思われます。なので、he was a doctorと、過去形にしているに過ぎません。toldに合わせているわけではないのです。

では

He told me he is a doctor.(彼は、彼が医者だと言った)

現在からみて、言っていたのは過去。けど、he is a doctorということは、今もお医者さんである。ということがわかります。最近会った人が、「私は医者です」と言えば、今現在もお医者さんだったら不思議でないですよね。そのため、he isというように現在形を使っています。

これを踏まえて、

He told me that the meeting (        ) on Saturday.

(      )の中は、was,  is,  will be ? どのように使い分けるか、考えてみましょう。

is の場合:ミーティングは来週土曜にあるというは確定して、まだ終わっていない。という場合、(       )に入るのは確定した未来なので、is です。

will be の場合:ミーティングがまだ終わってなくて、次の土曜にある、というただ単純に未来のことを言う場合、will be も使えますね。

wasの場合:すでにミーティングは土曜に終了している。または、他の曜日だと思っていたのだが、彼は土曜だと言っていた。という場合

いかがでしょう、現在からみる、という英語の基本を押さえれば、時制の一致は関係ないとわかると思います。

 

「時条件の副詞節では、現在形で未来の代用とする」という謎ルール

時制というと、学校で暗記するルールがありますね。「時条件の副詞節においては、現在形で未来の代用とする」というルール。

なんとなくかっこいいので、わけもわからず中学時代に暗記したのを覚えています。

どういうルールかというと・・・

時・条件節での時制

If it rains (× will rain) tomorrow, I will not go out.  (もし明日雨が降ったら、外出はしません)

このように、もし~(条件)~の時(時)の副詞節では、明日雨が降ったら、という未来のことを言っていても、現在形にしましょう、というルールですね。中学、高校でやりましたよね。

けれど、If I will be late, I will call you. という英文もあり得るのだとか…(詳しくはマークピーターセンさんの「続日本人の英語」を参照ください)

これも、現在の視点から見ると、何となくわかってきます。

1  If I am late, I will call you. 

2  If I will be late, I will call you. 

どう違うのでしょうか…

電話をする時点を「現在」として考えてみてください。

1の文章の場合。もし、I am late の状態なら。つまり、遅れている状態になったら・・電話しますよ。という意味です。電話するときは、もう遅れている状態なわけです。(I am late ) 私は遅れている、というわけですね。

2の文章の場合。もし、会議や残業が入って、このままだと遅れるとわかった状態で、電話しますよ。という意味です。この場合、まだ遅れているわけではなく、このままだと遅れそう(未来の予測)なので、will be late を使っています。

これをふまえると、If it will rain tomorrow, I will not go out.  も間違いではないとわかります。ifは未来形はダメだから×!とも言えません。

この場合、もし、これから雨が降りそうだったら(まだ降っていない)外出はしません、という意味になりますね。もちろん、If it rains tomorrow, I will not go out.  の場合は、雨が実際降っている状態であれば、外出しません、という意味です。

文法書では、willが意志未来の場合は例外的にwillも使われる、という謎解説がありますが、ちょっと違いますよね。

こういう感覚が書いてあるのは、文法書ではありません。すべての英語学習者にお勧めしたいのは、先ほどちらっと書いたマークピーターセンさんの「続日本人の英語」シリーズです

日本人にはわかりにくい英語の感覚を身につけるヒントは、このような本に隠されています。

一般的な時制の一致の例外

最後に、学校で習う一般的な時制の一致の例外を挙げておきます。今回のポイントを考えると、全く例外ではないことがわかると思います。

時間に関係ない普遍の事実

We learned that water boils at 100℃.  私たちは、水は100℃で沸騰すると習った。

習ったlearnedのは過去。しかし、水が100℃で沸騰するのは、現在も同じですね。現在形にするのは不思議ではありません。

現在も変わらない事柄

He told me that he goes jogging every morning. かれは、毎朝ジョギングすると言っていた。

これも、彼は毎朝ジョギングする、と最近言っていたのであれば、現在もジョギングしているはずですね。現在形で当然です。

歴史上の事実

Our teacher said that Einstein was born in 1879. 先生はアインシュタインは1879年に生まれたと言った。

一般的に、先生が言った(過去)よりも、アインシュタインが生まれたのはもっと過去なので、過去完了を使う、とされますが、絶対というわけではありません。1879年に生まれた、というのは歴史的事実で、現在から見たら単純に過去の事ですので、過去形です。

いかがでしょうか。「例外」とかたずけられている文法も、意外に例外ではない場合がほとんどです。そういう視点で英文法を見るのも楽しいですね。




  • この記事を書いた人

ほんだくん

保有資格: TOEIC920点、英検1級 暗記に頼る文法ではなく、論理的に理解できる英文法を書いています。 長文読解が楽になるための文法、たんなるテクニックではなく、自信を持ってTOEICの文法セクションが解けるための文法知識を提供できれば幸いです。 その他、TOEIC900点越え、英検1級まで取得したノウハウを書いていきます。

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