「不定詞」という用語は中学校あたりではあまり使わないようですが、どの文法書をみても出てきますよね。中2で英語が嫌いになる原因ナンバーワンだと個人的に思います。TOEICを学んでいる人も苦手に感じている人が多いのではないでしょうか??
不定詞はto~がつく文法です。文法書を見ると、「名詞用法」「形容詞用法」「副詞用法」・・・などと書いてあって、難しそうなイメージを持つ方も多いと思います。今回はTo不定詞についてまとめます。
もくじ
前提として知っておく知識
まず初めに、このサイトで何度も説明している「品詞」は先に理解しましょう。「名詞」「形容詞」「副詞」というやつです。あとでざっくり復習しますので安心してください。念のため→「品詞とは」はこちら。
品詞が使われている「5文型」も第1、第2、第3文型だけでいいので復習して頂ければ理解が早いと思います。5文型の記事はこちら
そもそも不定詞とは??
不定詞って名前からして意味不明な雰囲気がすごいですが、次のように思ってください。
toは「動詞」を「名詞、形容詞、副詞」に変えてくれる便利なアイテム
…余計謎に思ってしまったら申し訳ございません。以下の説明をお読みになってわかってもらえたらと思います!
不定詞名詞的用法 「動詞を名詞に変える」
名詞って??
名詞とは、物や人の名前ですね。大事なのは、名詞は主語と、目的語、補語の場所に置かれる、という事です。
主語は「~は」の意味。英語ではSVOのS、つまり必ず最初に来ます。目的語は「~を」の場所です。私は任天堂スイッチを買った。英語だとI (S) bought (V) a Nintendo Switch (O). SVOのOの位置です。動詞の横ですね。補語はSVCのC。Cは主語(S)とイコール関係になります。つまり、I (S) am (V) Tom (C). I(私)= Tom ですよね。
動詞を名詞にするって??
主語、目的語、補語に置かれるのは分かりました。English is difficult. (英語は難しい)という文なら、主語はEnglish なので、主語には名詞(English)がくるので納得ができます。
問題は「英語を読むことは難しい」という場合。主語は「英語を読むことは」になりますね。「読む」は英語でread です。read という単語は「動詞」です…先ほどのルールだと、主語にこれるのは名詞だけですので、動詞を置く事はできません…Read English is…とは言えませんね。そもそも、英語では動詞から始まる分は「命令文」になってしまいます。Read English…だと「英語を読みなさい」となってしまいます。
そこで不定詞の出番です!read に to をつけることで、「動詞じゃなく名詞ですよ~」という目印になります。よって、read という「動詞」を、「To read」という「名詞」に変えていることになります。
To read English book is difficult. 英語の本を読むことは難しいです。
I like to play basketball. 私はバスケットをすることを好む (私はバスケットをするのが好き)
My hobby is to play basketball. 私の趣味はバスケットボールをすることです。
不定詞形容詞的用法 「動詞を形容詞に変える」
形容詞って?【後置修飾復習】
形容詞は様態を表す使い方もありますが、今回は「名詞にくっついて説明する」だけ押さえて頂ければ結構です。
名詞を説明するというのは…「ペン」という名詞があったら、「赤い」という情報を付け加えることができますね。「赤い」というのが形容詞の働きです。名詞の表現が広がりますね。pen→ red penといった感じです。
大事なのは英語は後ろから名詞にくっつくパターンが多い、ということです。たいてい長い文章が名詞につく場合は後ろにつきます。↓を見ていただければわかるかと思います。
英語は核となる名詞(boy)に後ろからswimming in the river(川を泳いでいる)という情報を追加しているのがわかるかと思います。日本語は前からしか、名詞にくっつきません。
不定詞の形容詞用法
後置修飾の雰囲気を掴んだところで、不定詞の形容詞用法の例文を見てみましょう。
I have no time to read books. 私は本を読む時間がない。
もし「本を読む時間がない」と言いたい場合、×I have no read books time. と言いたくなりますが、この文のようにreadのような動詞を強引に形容詞にすることはできません。
動詞はあくまで動詞。形容詞ではありません。不定詞は「動詞を形容詞に変える」ことができましたね。なので。toをつけて、to read books という形容詞にするのです。ターゲットの名詞 (time)の後ろにつけて、 time to read books (本を読む時間) という形にします。
There are many places to visit in Kyoto. (京都には訪れる場所がたくさんある)という文も、訪れる(形容詞)→場所(名詞)と説明していますが、英語はplace(場所)← to visit(訪れる)to visit は visit という動詞に to をつけることで、形容詞になっています。ターゲットの名詞(place) の後ろに付いています。
不定詞副詞的用法 「動詞を副詞に変える」
副詞とは??
はじめに、副詞の働きは…
①名詞以外(形容詞・動詞)を修飾する ②情報を加える(おまけ)
の2つです。②も形容詞と動詞のどちらかを修飾しているので、名詞以外を修飾する、と覚えておけば大丈夫でしたね。
もう一つ重要なのは…副詞は文の要素(SVOなど)に含まれない!ということです。
不定詞の副詞用法(目的用法)
He visited Osaka to eat Takoyaki. 彼はたこ焼きを食べに、大阪を訪れました。
例文を見てください。to +動詞の不定詞の形がついています。例文を分解すると、He (主語)visited (動詞)Osaka (目的語)これだけでSVOの第3文型であることがわかります。
この不定詞が形容詞用法かな?とすると、to eat takoyaki たこ焼きを食べるがOsakaを説明することになります。すると、「たこ焼きを食べる大阪」を訪れました??という文になってしまいます。
となると、この文章はHe visited Osaka. だけで文が成り立ち、to 以下は文型に含まれない「副詞」であると考えます。となると、副詞ですので、以下のように名詞以外、ここでは「動詞」にかかります。
↑のように、たこ焼きを食べるために、→ 訪れた。というように、to不定詞がvisit (訪れた)という動詞を説明しているのがわかると思います。①SVOの文型に含まれない②名詞以外を修飾している ふたつの副詞のルールを満たしているので、このtoは副詞だとわかります。
教科書的には「~するために」と訳しますが、基本的な考え方は「情報を付け足す」感覚です。「私は大阪を訪れました。」「たこ焼きを食べにね。」のような雰囲気で読んだ方が早く読めます。
以下、付け足しパターンを挙げます。すべて基本は★文型に含まれない。★名詞以外を修飾 ★情報の付け足し の3つです。
「目的」意外の副詞用法 (全て、文型に含まれず、名詞以外の修飾情報の付け足しの3つの条件を満たしています。)
結果 She grew up to be a doctor. 彼女は成長して、結果医者になった。
判断の根拠 He is very kind to lend me his umbrella. 彼は傘を貸してくれるなんてとても親切だ。
感情の原因 I am happy to see you. 私はあなたに会えてうれしい。
独立不定詞
副詞用法と一緒と考えていいのですが、文から独立し、文全体を修飾する「独立不定詞」というものがあります。ほとんど慣用句のようなものです。
英検の英作文で使えますので、全て暗記をお勧めします!
To tell the truth, I don't like natto. (実をいうと、納豆は好きでありません)
こんな感じで使われます。
その他… needless to say (言うまでもなく)to be sure (確かに)To be frank (with you)(率直に言うと)To make matters worse(さらに悪いことに)To say the least (of it)(控えめに言っても)So to Speak(言わば・言ってみれば)strange to say (奇妙なことに)to begin with (まず第一に)
この辺りはよく使えます。
不定詞の構文
to不定詞を使った構文を紹介します。英作文でどんどん使えるので、例文を暗記することを強くお勧めします!
It is 構文
It is difficult for me to speak English. 私にとって、英語を話すのは難しい。
先ほど、名詞用法ではtoをつけることで動詞を名詞にし、主語と目的語に置けると書きました。
To speak English (主語)is difficult for me. 私にとって英語を話すのは難しい。と、いうやつです。この英文も間違いではないのですが、聞くところによると、英語を話す人は「頭でっかち(主語がデカイ)」の文章を嫌うらしいです。我々日本人からすると、ドラえもんや、ふなっしーなどで頭が大きいキャラに愛着があるので、あまり理解できませんね。
なので、Toから始まる文章は頭がデカイ!それなら、代わりに主語にItを置いておこう、という話です。「難しいんだよ!(difficult)」と、とりあえず言いたいことを言ってしまおう。そして、to speak English は最後に持っていきます。
It is 構文はこのような感じです。公式にすると、It is ~ for 人 to~です。
ちなみに、It is ~の、~の部分に「人物評価をあらわす形容詞」が来ると、for 人のところがofになります。It is kind of you to~ 確かに、人の性格って、その人の一部分に属していたもの。だとするとof の前置詞がしっくりきますよね。 「前置詞ofの考え方」を参照ください
too to 構文 (so... that~)
This noodle is too hard to eat. この麺は固すぎて食べれません。
too 形容詞・副詞 to →「~するには~すぎる」という意味。notが無くても否定の意味になります。
*言い換え; too to 構文は、so.... that.....に言い換えができます。
This noodle is so hard that I cannot eat it. この麺は固すぎて食べれない。
soはvery(とても)と同じ意味と思いがちですが、実はこのso that(~するほど)の使い方が基本です。very と同じ感覚でso を使うのは間違いです。
thatは節を導くので、最後のit(目的語)をちゃんと残しましょう!忘れがちです!
enough to 構文
He is kind enough to carry my bag. 彼は親切にも私のバッグを運んでくれた。
形容詞・副詞 + enough toで「~するのに十分…」という意味になります。*enough kind としてしまうことがあるので、注意しましょう。
*言い換え この構文も so ~that... で書き換えができます。
He is so kind that he carried my bag. 彼はとても親切だったので、私のバッグを運んでくれた。
so as to (in order to) 構文
He visited Osaka so as to eat takoyaki. 彼はたこ焼きを食べるために、大阪を訪れました。
He visited Osaka in order to eat takoyaki. 彼はたこ焼きを食べるために、大阪を訪れました。
先ほど副詞用法のところで、「目的」用法をやりましたが、より「目的」感をはっきりさせるためにso as to, in order to が使われます。
ちなみに、否定の時は、so as not to, in order not toとなります。
疑問詞 to 不定詞
名詞用法は、主語、目的語、補語に置かれると説明しました。動詞の目的語に置かれるときに多いのですが、疑問詞+to不定詞という用法もあります。
I don't know how to swim. どうやって泳ぐかわかりません。
例文は、言うまでもなくknow の目的語に不定詞が置かれています。how は「どのように」という意味ですね。それに to をつけて、例文のように、「どのように~するかを」という目的語を作る事ができます。
その他の疑問詞:what to 「何を~するか」where to 「どこで~するか」when to 「いつ~すればよいか」who to 「誰を~すればよいか」*why toは使えません!
SVO+to不定詞
名詞用法の代表的な表現としてwant to~(~したい)というのがありますよね。私が~したいです。という文章で使われます。 I want to eat something. 何か食べたいです。 みたいな感じです。
ところで、「あなたに」~してほしいんです。と言いたい場合どうするか?という問題です。you をどこに置くのか? I want you というように、目的語にyou を置きます。
I want you to know that. あなたにそのことを知ってほしい
注:この表現はストレートすぎるので、人に頼むときはwould you~ could you~の方が丁寧です。
不定詞を目的語にとる動詞 と 動名詞を目的語にとる動詞
toについて
toは前置詞にもあります。前置詞Toは「→のようにどこかに向いている」とイメージ。不定詞に応用すると、「doという行為に向いている」ということになります。言い換えれば、未来志向になるということです。
toを目的語に取る動詞
「未来志向」をキーワードにすると、不定詞しか目的語に来ない動詞の共通項が見えてきます。
行為に向く願望:want ~したい hope ~を望むwish~を望む、 など もっと積極的に行為に向く動詞:decide ~することを決める, promise ~することを約束する, 行為に向いて対応する:manage~しようとするなど
~ingをとる動詞
一方で、~ingはどうかというと、現在・過去・未来に縛られずに使われますが、どちらかというと不定詞に比べて過去志向、消極・逃避、反復のイメージです。また、具体的な状況を思い浮かべられるような「目の前のリアルな躍動感」も感じます。
不定詞との決定的な違いは、不定詞は「これから行う未来志向」なのに対し、~ingは「実際に行為を行っている」のが前提となります。
~ingを目的語に取る動詞
「過去志向、実際に行為が行われている躍動感」をキーワードにすると、動名詞をとる動詞も共通項が見えます。
何かをしている躍動感:enjoyを楽しむ, practiceを練習する 行為に向かわず回避する:avoid 回避する、mind いやがる、アイディアやイメージを対象:consider 熟考する、suggest 提案する、imagine想像する 行為の開始・継続・終了:start始める、continue 続ける、stop やめる、 quitやめる などなど
toかingで意味が変わる動詞
ややこしいことに、toとingで意味が変わる場合もあります。この見分け方も「未来」志向なのか「過去」志向なのかで判断します。例えば、forget(忘れる)という動詞がありますが、to と~ingでは意味が変わります。
例 ①forget to(~するのを忘れる)②forger ~ing (~したのを忘れる)①toが来ると「これから」のことを忘れる。②ingだと「過去にしたこと」を忘れる、ということになります。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。