読者の方から仮定法現在についての質問がありました。ありがとうございます!勉強になります。
内容を一部抜粋させていただきます。
ブログによると、
If it rains tomorrow, I will stay home. (明日雨が降ったら(仮定)、家にいます)
これは仮定法現在が古い用法だから今は直説法(普通の文)が使われているため、三単現のsが使われる。
なら、仮定法現在で三単現のsを使ってよいとすると
S insisted that S Vや
It is necessary that S Vなどの文も
同様にthat節の中身も三単現のsや過去形や未来形の時制にして使ってよいことになってしまう。
if節の仮定法現在のみ直説法が使われているということか?
確かに、If節では、仮定法現在は古い表現なので、直接法(三単現のSなどの普通の文)が使われています。
では、suggest insist などの場合、仮定法現在を無視していいか?
というと、無視できません。If節の場合だけです。suggest insist などの場合でも三人称のS,過去形などの直接法は使われますが、「古臭いから」という理由で直接法が使われるわけではありません。
なぜなら、仮定法現在を無視して三人称のSをつけたり、過去形にしたり、普通の文を使うと、意味が変わってしまうからです。
前のブログと少し重複してしまいますが、改めて、suggest 系のthat 節で、仮定法現在が使われるパターン、直接法が使われるパターンの違いを見ていきたいと思います。
suggest insist that節などで、直接法(普通の文)が使われる場合
まず、insist necessary について、直接法が使われるのか?という問題ですが、
結論から言うと、直接法が使われることはあります。
どんなときか?というと、「事実」として述べるときです。
受験生に一番オススメしたい文法書「新マスター英文法」の例文を引用させていただきます。
a) She insists that he is innocent. 彼は無実であると彼女は言い張っている。
b) She insists that he (should) come. 彼がくることを、彼女は強く求めている。
※イギリス英語ではshoud が使われます。
a の場合、彼が無実である、という「事実」を主張しています。よって、直接法で is を使っています。
b は、というと、彼がくること、というのは、これから先のことです。実際そうなるかわからないので、仮定法現在が使われます。
これを踏まえて、次の文章の意味の違いを考えましょう。
a) It is important that he have a computer.
b)It is important that he has a computer.
両方とも、「彼がパソコンを持っているのは重要だ」ということになりますよね。
意味の違い、わかりましたか??
aは 「これから」彼がパソコンを持つことは重要だ
bは かれは「すでに」パソコンを持っている(という事実が)重要だ
ということになります。
では、なんでこんな風になるか、もう少し掘り下げましょう。
仮定法現在の裏にあるもの
マニアックな文法書で有名な「現代英文法講義」のp367に、次のように書いてありました。
広義の命令表現に続くThat節では、叙想法現在(仮定法現在)が使用される。
※命令が実行されるかはわからない(仮定)なので、仮定法が使われる。そもそも、命令文って、原形から始まりますよね。
Stand up! 的な。
そうです、demand, request, command, insist, necessary, essential…
これらの中に共通して隠されている話者の気持ち。それは、「命令」だったんです。
やんわり命令する雰囲気を掴んで、先程の例文をもう一度見てみましょう。
She insists that he (should) come. 彼がくることを、彼女は強く求めている。(来なさい)
It is important that he have a computer. パソコンを彼が持つのは重要だ (買えよ)
やんわり、命令の気持ちが含まれますよね。
これが、It is important that he has a computer. 彼がパソコンを持っている(事実)ことは重要だ、という風に「事実」を述べていたら、、命令の気持ちゼロですね。
そうなると、なんでイギリス英語でshould が使われるかも見えてきます。
題名に似合わず(失礼・・)文法書としては名著と個人的には思っている「高校英語を5日でやり直す本」によると、
Should を入れてみて、「〜すべきだ」という意味に解釈できる場合は、動詞の原形が使えると思っていい。
She insists that he is innocent. 彼は無実であると彼女は言い張っている。⇒ 「べき」が入らない
She insists that he (should) come. 彼がくることを、彼女は強く求めている。⇒ 彼がくる「べき」だと、彼女は言い張っていると言える。
この見分け方も簡単ですね。
まとめ
と、いうわけで、suggest, insist, demand that 節では、直接法は使えます。
見分け方は
○命令のニュアンスがあって、should を入れて「〇〇すべき」という意味で解釈できたら原形
○事実を主張する場合は、直接法
ということになります。
鋭い質問でびっくりですが、他にも質問がある方がいたら、お問い合わせください。答えられるものに関してはお答えします!
(無理なものは無理って言います・・小声)
↓今回参照した文法書
受験生に一押しの文法書。個人的に「ロイヤル」よりもオススメ。著者が「元開成高校教諭」というだけあり受験を知り尽くした人が書いている印象。
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かなり専門的な文法書。東大などの最難関大学を狙う人や、仕事で英語を使いたい人など、高いレベルを目指す人は持っていて絶対損はありません。高いですが。。
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ざっと高校英語を見直すには最強の本。一番は、「こんな表現、受験でしか使わない」という記述が、非ネイティブには嬉しい。