その現行の教科書で、結構質問されるのが、中1のUnit5の会話。
インド人ディーパ:What's this? Is it chocolate? (これ何?チョコレート?)
日本人コータ:No,it's not. It's a block of curry.(いいえ、これはカレーのブロックです)
インド人ディーパ:Really? We don't use that in my country.(本当? 私たちの国では、そんなの使わないわ)
という会話。
どうやら、最後のthat が「それ」と訳されるのに疑問があるらしい。「それ」なら「it」だという主張です。
これは、「it」をちゃんと理解していないことから生まれる疑問とも言えます。
同じように、it を理解すると、oneとの違いもわかってきます。
itとは?人称代名詞です!
itというのは、「人称代名詞」です。
He、 She、 Weなどと同じ仲間です。人称代名詞を、どのように習いましたか?
恐らく
「前に出た人や物を、もう一度言う時、同じ名詞を繰り返さないように、代名詞を使う」と習ったと思います。
例えば、
Mr. Sato is my uncle. He is a teacher. (さとうさんは、私のおじさんです。「かれ=he」は先生です。)
ここで重要なのは
Mr. Sato = He (同一人物!!)
そんなの、当たり前でしょう。中1で習いますから。
と、思う方は、先ほどの「カレーブロック」のthatは疑問に思わないハズです。
なぜなら、 it は「人称代名詞だからです」*I my me の人称代名詞の表にも、しっかり「it」と書かれています。
it は、sato さんが he であるのと同じように、前に出てきたものそのもの、同一のものを繰り返しを避けるために使います。
つまり、it を使うと、
(コータが今使っている) block of curryそのもの = it
という事になってしまいます。そりゃ、目の前でコータが使っているカレールーをインドに直送して使う、なんてことはあり得ませんよね。
なので、ここでは指示代名詞のthat をつかいます。
指示代名詞とは
このように、it を指示代名詞だと勘違いする人は多く、そのため、赤ちゃんをit などと言うと、「人に対してit!?」キー―!!なんて思ってしまいます。
性別がわからない人にはitでも問題はありません。そもそも、「人称代名詞」なので。
it は日本語の指示語、「それ」とはちょっと意味合いが違います。
それでは、指示語とはというと、
this/these, that/those の4種類が代表的な指示代名詞です。(そのほか、same, do, suchも含まれます。)
これが、日本語でいう、指をさしていう「それ」のイメージです。
「これ」はthis ですが、もうちょっと遠い「それ」くらいだと、thatが使われます。なので、it は「それ」と覚えるのは危険です。
one と it の違い
それでは、それを踏まえて、one と it の違いを考えます。結論から言うと
it は、前にでてきたものと同一の「それ」
one は「なんでもいいから、「ひとつ」
これを踏まえて、
「私は鉛筆をなくしてしまった。1本買わなくてはなりません。」という場合。
×I've lost my pencil. I must buy it.
この場合、it は、it = 無くした私が使っていた鉛筆そのもの
ですので、無くしてしまった「自分が使っていた鉛筆を買う」、というのは、不可能ですね。
けど、新しいおなじ鉛筆を買うことはできるわけです。
そのため、なんでもいいから鉛筆一本買わなきゃ、という時は
I've lost my pencil. I must buy one.
というようにすればいいわけですね。
Itを使うのは、↓こういう時です。
I've lost my pencil. Do you know where it is?
(私は鉛筆をなくしてしまった。「それ」がどこにあるか知ってる?)
これは it = 無くした鉛筆
ですので、納得できるかと思います。
いかがでしょうか。
今回は、it というのは、he she のような人称代名詞なので、this that のような「それ」とはちょっと違うんだ、という理解をしてもらえればと思います。