no more thanや no less thanの謎。「比較級」のクジラ構文は、なぜ日本人には使いこなせないのか??

今回は比較級の「構文」にフォーカスして書いていきます。

何を隠そう、私は比較級の構文はとても苦手でした。no more than, not more than… など、意味不明でした。特に、「クジラ構文」と言われる構文・・A whale is no more a fish than a horse is. (クジラは馬じゃないのと同様に、魚ではない)という文章はホントに謎でした。丸暗記しかない!と思わせる構文ですよね。

「クジラ構文」はネイティブは使わない、受験でしか使わない・・なんて言われたりもします。

しかし!クジラ構文はネイティブの会話でも使われる。そう気づかせてくれたのが、「一億人の英文法」です。

いまさら「一億人の英文法」ですか?と言われそうですが・・やはりこの文法書は面白いです。受験勉強には使いにくいと感じる人もいるようですが、読み物として使える文法書は多くないです。基本的に文法をある程度知っている方向けの本かと思います。

クジラの構文の謎を解くカギ

もう一度、「クジラ構文」の文章です。

A whale is no more a fish than a horse is (a fish). (クジラは馬じゃないのと同様に、魚ではない)

過去何十年間何人の受験生を苦しめてきたのか・・・と思えるクジラの構文ですが、大西先生の「1億人の英文法」が解決してくれました。

日本人が「クジラ構文」に苦心し、受験用の英語、という謎の理由で投げ捨てていた構文は、「こめられたニュアンス」がわからなかったからです。ここまで「ニュアンス」にこだわっている文法書は「1億人の英文法」だけだと思います。

「1億人の英文法」から例文を引用させていただきます。

That is no more a Rolex than this plastic toy watch!  あれはロレックス(高級時計)なんかじゃないよ!

「全然違うよ!」というのがこの文のメッセージです。直訳すると「このプラスチックのおもちゃの時計以上に、ロレックスなんてことはないよ」than以下はオマケに過ぎず、有り得ないことを引き合いに出しているに過ぎないんですね。要は、強烈な否定です。this is not a Rolex.よりも強烈な否定になります。これがクジラ構文の正体です。

He is no more a musician than I am. この文章も、than以下はオマケです。私は音楽の才能がないけど、それ以上に、彼は音楽家どころじゃないよ!という意味です。(彼は音楽家なんかじゃないよ!)

Tom is no more fit to do this job than a monkey! この文章も、Tom is no more fit to do this jobまで見て、トム君はこの仕事に全く合わないんだ、というニュアンスを感じればマスターですね。 than a monkeyは猿でもできる、という有り得ないことを引き合いに出しているだけです。なので本当は訳すまでもなく、「トムはこの仕事に全然ふさわしくない」とすればいいですね。

と、いうわけで、クジラ構文はクジラは魚なんかじゃないよ!!と言いたいだけ、という事になります。horse is a fish 馬は魚です。という有り得ないことを引き合いに出しているだけです。monkey is a fish でもいいわけですね。

英検1級の長文、TOEICの読解でシレっと出てくるかもしれません。no more ~を見た瞬間、全然~じゃないんだねと反応すれば意味をとりやすいかもしれませんね。そのあとにthanがきたら、これは例えで言っているだけだから読み流す、という読解のメリハリができると思います。

ところで、no more than ,not more thanの違いは??

今回の話を理解するために、 no more についても補足します。

比較級にはno more と not more が出てきて混乱します。まず、no と notがどう違うかを理解しましょう。

NOとNOTの力関係

NO  〉NOT NoはNotよりも強い否定!!

それを意識すると・・

not more than VS no more than

①He has not more than 10 dollars . と ②He has no more than 10 dollars. の違いをイメージできますか?

①He has not more than 10 dollars. は客観的に見て、持っている金額の上限は10ドルだ、せいぜい10ドルくらいだろう・・というニュアンスです。

なので、言い換えるとat most になります。

②He has no more than 10 dollars. は、もっと否定が強く、彼が持っているのは、10ドルから1ドルも多くない。つまり、10ドルをまったく超えていない、というニュアンスがあります。こちらは主観的です。10ドル以上持っているなんて絶対ない!=10ドルしか持っていない。という雰囲気ですね。先ほどのクジラ構文のno more が強い否定であるというのも、これが理由です。

なので、言い換えるとonlyになります。

less than も理屈は同じです。

He has not less than 10 dollars. は客観的に見て、彼が持っている金額は10ドルを下回らないでしょう、という雰囲気です。最低でも10ドルは持っているでしょう。という感じです。

言い換えるとat least です。

では、He has no less than 10 dollars. は??こちらは、主観的に見て、10ドルよりも1ドルでも少なく持っているなんて有り得ない!10ドルを下回るなんて、絶対にない。つまり・・「こんなにたくさん持っている」というニュアンスです。

言い換えると、as much as になります。

まとめると

  • not more than = at most 
  • no more than = only 
  • not less than = at least 
  • no less than = as much as 

比較級の構文は丸暗記せざるを得ないものもありますが、今回紹介した構文は暗記しようとすればするほど混乱します。ある程度理屈で覚えたほうが記憶に定着するかと思います。




  • この記事を書いた人

ほんだくん

保有資格: TOEIC920点、英検1級 暗記に頼る文法ではなく、論理的に理解できる英文法を書いています。 長文読解が楽になるための文法、たんなるテクニックではなく、自信を持ってTOEICの文法セクションが解けるための文法知識を提供できれば幸いです。 その他、TOEIC900点越え、英検1級まで取得したノウハウを書いていきます。

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