前回の記事では英作文問題を書く前の文法力、1文の作文力、語彙、フレーズのストック方法について書きました。
今回はちょっと番外編ですが、パラグラフ構成を意識して書く前に、しっかり論理的な作文ができるようになる知識をシェアさせていただきます。
①内容 | 課題で求められている内容(意見とそれに沿った理由)が含まれているかどうか |
②構成 | 英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか |
③語彙 | 課題に相応しい語彙を正しく使えているか |
④文法 | 文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか |
↑は英検1級の英作文の配点です。今回は①の構成の中・・自分の意見をサポートする「理由」②構成の中でも、論理的であるかという点で合格点をとる方法です。細かい話ですが、重要な情報となります。
こちらのライティングの計画表↑でいうと、前回の「文法的に正しい英文を書く」ができた人が読む記事です。
もくじ
- 1 このような議論をしていませんか?
- 2 英検1級のライティングで注意!論理的な文を書くために・・クリティカルシンキング11選
- 2.1 1: Overgeneralization 超一般化
- 2.2 2 :Irrelevance 無関連
- 2.3 3 :Contradiction 矛盾
- 2.4 4 :appeal to tradition, history 伝統や歴史を重視する
- 2.5 5: Circular reasoning 循環論法
- 2.6 6: False analogy 似てるようで無関係
- 2.7 7 :False Dilemma 偽りのジレンマ
- 2.8 8: Looking for the perfect solution 完璧を目指し過ぎている
- 2.9 9 :Straw man argument 論点すり替え理論
- 2.10 10: Personal attack 個人攻撃
- 2.11 11: Two wrong doesn't make a right あの人も悪いことやってるんだから、いいでしょ?理論
このような議論をしていませんか?
I don't buy the food in this cafeteria. It's not very good. (私はこのカフェテリアでは食べ物は買いません。だって、食べ物が最悪だから)
突っ込みどころ満載ですね。英検1級の作文、面接のスピーチでは、このような非論理的な議論は避けたほうが無難ですね。
さて、上の文章のおかしいとこと・・たとえば「not very good」ってどういう意味?food is not very goodはいつも?今日だけ?本当に食べたの?それとも他人から聞いたの?すべての食べ物を食べたの?一部?good foodのとらえ方は人それぞれだよね。食べ物は悪いとしても、昼食を忘れたら買うのに十分な理由になるよね。・・・などなど。この発言は突っ込みどころが多いわけです。こういう批判的なモノの見方を「クリティカルシンキング」と呼んだりします。アカデミックの世界では大事な考え方とされますよね。まぁ・・日本の実社会でこんなことばかり言ってたら確実に嫌われますが(笑)
大事なのは、クリティカルシンキングは、他人の意見やアイディアを否定することではありません。
このようなやりがちなミスをご紹介します。
英検1級のライティングで注意!論理的な文を書くために・・クリティカルシンキング11選
英作文を書くとき、な~んか変な文章になってしまう原因をご紹介します。あくまで1級合格が目標で、いまから海外の大学に入るわけでもないので、軽~い気持ちで読んでください。
ただ、このような思考のトレーニングをすると、「トピックに対して自分の考えがでてきませ~~ん!」ということが少なくなります!!
察する文化、その場の「空気」を大事にする日本人には苦手な考え方です・・
1: Overgeneralization 超一般化
まずは「超一般化」・・
The French are arrogant. (フランス人は傲慢だ!)
よく聞きますよね。「日本人は勤勉です。」よく聞く話ですよね。けど傲慢じゃないフランス人もいるし、怠けるのが好きな日本人もたくさんいますよね。こういうのをOvergeneralozationといいます。一般化しすぎということですね。
2 :Irrelevance 無関連
My boss should give me a pay rise because I need a new car. (私は新しい車が欲しいので、上司は給料を上げるべきだ)
一見そっか~と思えますが・・給料アップと車の購入は無関係ですよね。普通給料アップは働く人の能力やパフォーマンスで決まるもの。無関係な理由を書いてしまうと減点の対象になる可能性が高いです!
3 :Contradiction 矛盾
In order to protect life of human beings, we should do whatever we need to . Thus, we should introduce death penalty to deter potential murderers. (私たちは人類の生命を守るため、必要なことはすべてすべきだ!ゆえに、殺人事件の発生を減らすために、死刑を取り入れるべきです!!)
「人類の生命を守るため」と言っときながら、死刑で人を殺しとるがな~~~!!という「矛盾」ですよね。意外に無意識に書いてしまうんですよね、、
4 :appeal to tradition, history 伝統や歴史を重視する
I don't think high school students should makeup because nobody wore makeup generations ago. (昔は化粧をしていなかった。だから、高校生は化粧をすべきではない!)
「昔はよかったのに!」と怒っている頑固じーさん論法です。これも意外にやりがち。「女性は会社でお茶を出すべきか」と聞かれて「昔から女性の役割でした。だから女性がすべきです」なんて言ったら説得力に欠ける答えになってしまいますね。
5: Circular reasoning 循環論法
The right to free speech is important right because expressing themselves at liberty is essential. (自由に表現することは不可欠なので、言論の自由は重要だ)
日本語では、じゅんかんろんぽう、っていうらしいですが、話がぐるぐる回ることを言います。
例えば・・「コーランこそがものごとの正しさを決定する。なぜそうなのかというとそれはアラーが决めたからである。なぜアラーがそう决めたとわかるのか、というとそれはコーランに書いてあるから(コーランが正しいから)である。」(ウィキペディアより)
どういうことかというと、「コーランが正しい」の理由が「アラーの決定」、「アラーの決定」の理由が「コーランが正しい」となり、ぐるっと回って最初に戻ってきちゃう論法です。これはちょっとレベル高いですよね~
6: False analogy 似てるようで無関係
The drinking age in Japan should be raise to 21 to reduce car accidents due to drinking drive. This has already worked in US.(飲酒運転による事故を減らすために飲酒の年齢は日本では21歳にあげるべきです。アメリカでは実際に飲酒による事故が減りました。)
これはどうでしょう。一見納得できそうですよね。けど、アメリカでうまくいったことが日本で当てはまるとは限りませんよね。とても似ているような事例を挙げたようで、実は無関係です。
これで思い出すのは、安倍首相が国会で「集団的自衛権の行使とは、隣のお宅が火事になったときに、町内のみんなで消火を手伝うようなもの。みんなで助け合うことが大事だから集団的自衛権の行使容認が必要」といったことです。集団的自衛権と火事、両方「火」と戦っているようですが、全く無関係ですよね~
震災の時は・・「放射能が少し高いところに生活するのは、制限速度60キロのところを70キロで走るようなものです。だから安心です。」という言葉も福島で多く聞きました。え??放射能と車の速度って、無関係ですよね!!??
7 :False Dilemma 偽りのジレンマ
Do you support the death penalty or would you rather let murder go free on the street? あなたは死刑に賛成ですか?それとも、殺人犯を自由にさせるべきだと思いますか?)
え~極論!ほかにも選択肢があるでしょ~~!刑務所に入れるとか・・ブラック企業が「残業するかリストラされるか、どっちかだ!」的な。。ほかにも選択肢があるはずなのに、2つしかないかのように見せかけることを「偽りのジレンマ」といいます。
8: Looking for the perfect solution 完璧を目指し過ぎている
Seat belts are useless because people are going to die in car accidents no matter what you do. (なにしたって死ぬんだから、シートベルトは必要がない)
これは100%の解決策じゃなくきゃ認め~んという理論です。確かにシートベルトは100%の確率で人を助けることはできませんが、助かる人もいるわけですよね。このような理由も、ライティングでやってしまうと、「なんか変な文章」になってしまいますのでご注意を。
9 :Straw man argument 論点すり替え理論
Senator Smith says that the nation should not spend money on new fighter aircraft. Senator Jones says that he cannot understand why Senator Smith wants to leave the nation defenseless. (スミス議員は新しい戦闘機に予算を使うべきでないと主張した。ジョーンズ議員は、なぜスミス議員は国を無防備にしたいか理解できないと言った。)
これはありがちですね。「そんなこと言ってねーーよ!!」という理論です。論点をすり替えの術です。例文では、スミスさんは国を無防備にしたいというわけではありませんよね。恐らく、ほかの方法で国の国防を強めると考えているのかもしれません。
ほかにも、「温暖化を止めるために、政府はCO2排出をさらに制限する必要がありますね。」と言ったとして、それを聞いた人が「車に乗るなということ?現代社会で車を使わないのは無理だし、経済の弱体化につながります!自転車で仕事にいけと??」などと論破しようとするパターンです。
「いやいや、そんなこと言ってないよ~~~!!」ってなりますよね。
私生活でもありますよね。「30分遅刻だよ。時間に遅れないでよ!」「あんただっていつも遅れるじゃない!」
10: Personal attack 個人攻撃
You have no right to criticize AKB48's singing because you can't sing and dance at all! あなたはAKB48の歌を批判できません。あなたは歌もダンスも全然できないんだから!!)
これは特にやってはいけないですよね~単なる個人攻撃になっています。批評している人は、長い期間音楽を聴いてきた専門家かもしれませんよね。しかも批判している人が間違っているという証拠も述べずに、「あなただって歌えないでしょ!」という個人攻撃で片づけています。このあと間違いなくケンカになるでしょう。
11: Two wrong doesn't make a right あの人も悪いことやってるんだから、いいでしょ?理論
We should cheat. Everybody else does. (私たちはカンニングをすべきです。みんながしてるんだから!)
これもありがちです。○○がやっているんだから、私たちもオッケー論法。子供がよく使いますよね。太郎君が持ってるんだから、僕も欲しい!的な話です。
大人の会話でもあります。例えば、「テロリストはアメリカ人を殺すのはもっともです。アメリカは彼らの土地を奪っているのですから!」・・どちらも道徳的によくないことですので、土地を奪ったから、市民を殺すという理由にはならないはずです。
いかがでしたでしょうか?面白いと思った方は、前回も紹介した1級合格必須の参考書「英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング」をご一読ください。この本では、今回紹介したようなクリティカルシンキングの力のトレーニングがたくさん載っています。論理的なライティングのトレーニングにもなりますし、2次試験にもとても役に立ちます。もちろん、前回書いた通り、表現や語彙を増やすのにも最高の一冊です。
最後に、クリティカルシンキングは「相手を打ち負かす」ためのものではありませんのでご注意ください。今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。