いよいよ後置修飾も最後になりました。今回は一番苦手な人が多い、「関係代名詞」です。
形容詞って??という方は形容詞の全体像をご覧ください。 前回までの記事…形容詞編その1:分詞・動名詞 形容詞編その2:不定詞(後置修飾1回目) 形容詞編その3:分詞(後置修飾2回目) 形容詞編その4:前置詞+名詞(後置修飾3回目)
そもそも、修飾って何??という方は「修飾とは」のページをご覧ください。
関係代名詞とは
関係代名詞は、いままでの後置修飾の中でも一番柔軟性がある表現です。ですので、コツさえつかめばとっても使いやすい便利な用法です。
関係詞を一言でいうと
ということです。ちなみに、ターゲットの修飾される名詞は「先行詞」と言われます。文法用語が嫌いな方は無視して大丈夫ですし、好きな呼び方をしてください。
例文を見てみましょう。
I know the man who killed her. 私は彼女を殺した男を知っている。
関係詞の作り方
関係代名詞の主格の作りかた
先ほどの例文の訳は「私は彼女を殺した男を知っている」ですが、この日本語の要点(主語と述語)は「私は男を知っている」です。修飾(飾り)は「彼女を殺した」ですね。
「彼女を殺した」のは??「男」です。よって、飾りの部分も「男が彼女を殺した」という、主語、述語の文ができますね。つまり、2つの文に分けることができます。これを英語でやると…
I know the man who killed her. → ①I know the man. 【要点】 ②he (the man) killed her. 【修飾語】の2文です。
2つの文を見ると、共通の語があるのがわかります。the man(男)とhe(彼) は同じ人間です。では具体的に関係詞の作り方です。
①まず共通項を見つけます。この場合、the man と he は同じ人間ですね。②次に共通項のうち、代名詞(He)を消して関係代名詞のwhoに変えます。③whoに変えた文を、先行詞(the man)の後ろにつけて完成です。
完成した文を見ると、killed の前に「穴」があるのがわかりますでしょうか??I know the man who ■ 穴 killed her. 主語の位置に穴が開いているのが重要です。その穴にはthe man (先行詞)が組み合わさって、修飾語関係になります。
このように、主語に穴があるのを「関係代名詞の主格」などと言われます。 この場合、関係代名詞は先行詞が人ならwho、ものならwhichが使われます。
関係代名詞の目的格の作りかた
この文も主格の作り方でやったように、文を2つに分けてみます。まずは日本語を見てみます。述語は「女の子です」主語は「彼女は」よって、文の要点は「彼女は女の子です」ですね。では、修飾しているのは「私が(彼女を)パーティで見た」になります。英語にすると…
She is the girl whom I saw at the party yesterday. → ① She is the girl. 【要点】 ② I saw her (the girl) at the party yesterday.【修飾語】
今回も、この2つの文のを関係詞で一つになる方法は主格の時と同じです。
①まず共通項を見つけます。この場合、the girl と her は同じ人間ですね。②次に共通項のうち、代名詞(her)を消して関係代名詞のwhomに変えます。③whomを【修飾語】の文I saw at the party yesterday.の一番前に置きます。(*ここだけ主格と違います)④できた文をもう一つの共通語(the girl)の直後において完成です。
関係詞で大事になるのは【修飾語】です。主格の時は、共通の語が「he」主語でした。今回は「her」なので、目的語です。目的語が関係代名詞になるので、「目的格」となるわけです。この時はwhom(whoでもOK)にします。先行詞が物の場合はwhichです。
重要なのは【修飾語】の文の中に穴ができることでしたね。She is the girl whom I saw ■穴 at the party yesterday. I (S) saw (v) ■(O) 目的語のところが穴になっている感覚を忘れないでください。ここでも5文型の知識が重要なのがわかりますね。
目的格のWhom(who) whichは省略できます
学校では目的格の関係代名詞は省略できます。と習いますよね。一方で主格は省略できません。それもそのはず。主格の例文をもう一度見てみます。
I know the man who killed her. → *I know the man killed her. この文を見て、名詞のThat節かな?と思いますよね。 I know (that) the man killed her. 私はその男が彼女を殺したと知っている。と言う意味になってしまい、後置修飾のニュアンスはなくなります。これならまだいいのですが、
また、例えば I saw the girl who loves John. (私はジョンを好きな女の子を見た)という文があったとします。もし* I saw the girl loves John. とすると、赤文字のI saw the girlと青線のthe girl loves John が2つの文がダブって見えてしまいます。意味不明になってしまうので、whoは省略できません。whoが「ここからは修飾です」というサインになります。
一方で目的格の場合はこのような混乱がないので、省略できます。このルールを逆手にとって、名詞の後に主語+動詞が来たら関係詞が省略されていると考えても良いと思います。
関係詞の種類と見分け方 (関係代名詞・関係副詞・関係形容詞)
さて、ここまでは中学生の文法です。高校生になると、関係代名詞だけではなく、関係副詞、関係形容詞が登場します。
関係副詞、関係形容詞…と聞くとゾッとしますが、「副詞」「形容詞」がわかればなんてことはありません。やはり、文型と「品詞」は英語学習で重要です。
関係詞はあくまで後置修飾する「形容詞節」です。★あくまで「関係詞節【修飾語】の内側」で、関係詞が代名詞、副詞、形容詞のどの働きをしているかに注目してください。
関係「代名詞」の場合
作り方でやったように、まずは2つの文で見てみます。
This is a pen I bought ■ yesterday. という文があります。■のところに穴があります。この文を分けると・・・
→this is a pen. 【要点】 + I bought 【it】yesterday. 【修飾語】
穴が it です。I (S) bought (V) ■ (O). 目的語が穴です。目的語は名詞が入りましたね。よって代名詞itが入るので、関係代名詞のwhichを使います。
関係「副詞」の場合
This is the hospital where I visited John last night.
→This is the hospital【要点】+ I visited John last night. 【修飾語】
さすが高校生が学ぶ関係副詞です。文を見てもらうとわかりますが、共通項は??となります。関係副詞は共通項がありません。なぜなら、穴がないからです。副詞編で説明しますが、副詞はSVOのどれにもなりません。よって、 I visited John last night. という修飾語の中は、SVOの穴がないのです。では何がwhereになるの?というと【there】(そこに)です。
参照:5文型とは(副詞はSVOCのどれにもなりません)
よって、この【修飾語】のthe hospitalとの共通項は【there】です。【修飾語】の中に穴がない場合は副詞を疑ってください!これが関係副詞の見分け方です。
This is the hospital where I visited John last night. これは私が昨夜ジョンを訪れた病院です。
→This is the hospital【要点】+ I visited John 【there(副詞)】last night.【修飾語】
次の文と比較してください
This is the hospital which I visited last night. これは昨夜私が訪れた病院です。
→This is the hospital【要点】+ I visited 【it】 last night. 【修飾語】
今度は修飾語のなかに穴があります。I (S) visited (V) ■ (O) last night.
visitedの目的語がないので、不完全な文です。よって、穴があるのがわかります。Oに入るのは名詞ですね。よって、itという代名詞が入ります。この文章は関係代名詞の文ということがわかります。
繰り返しになりますが、修飾語の中に穴があるかないか、が関係代名詞と関係副詞の見分け方の基本です。TOEICなどで頻出です。
ちなみに、関係副詞は、先行詞が…
「場所」ならwhere 「時」ならwhen 「理由」ならwhy となります。
関係「形容詞」の場合
I know a girl whose father is a doctor. 私は医者のお父さんがいる女の子を知っている。
→I know a girl 【要点】 + 【her】father is a doctor. 【修飾語】
今回の共通項はa girlと共通はher(彼女の)しかありませんね。her はfatherという名詞を修飾しているので「形容詞」の働きをしています。これを関係形容詞といいます。
形容詞の場合は、whoではなくwhoseを使います。先行詞がモノでもwhoseになりますのでご注意ください。
*whatも関係形容詞とする場合もありますが、このサイトでは疑問詞節としてまとめています。
関係詞の訳し方
次に、関係詞を「どう訳すか」です。
関係詞で注意するのは、返り読みをしないことです。
先ほどの、She is the girl whom I saw at the party yesterday. という文を訳すとき… 「彼女は私が昨日パーティで見た女の子です」と一気に訳してもいいのですが、初期の段階では「彼女は女の子です。」と頭から意味を言い、「どんな女の子というと、私がパーティで見た」「昨日」のように頭から訳す訓練をすることをお勧め致します。
今まで説明した「後置修飾」は日本語の語順にはないので、どうしても返り読みしていまいます。返り読みをすると遅くなってしまうので、頭から意味を取っていく訓練をしましょう。
制限・非制限用法
関係詞には制限用法と非制限用法という2パターン存在します。それにしても「制限用法」みたいな、イカツイ文法用語って、どうにかならないのでしょうか…用語は固いですが、内容は簡単です。
簡単に言うと、
制限用法:先行詞を限定する 非制限用法:先行詞の追加情報を後付けで追加する。カッコ( )のようなもの。関係詞の前にコンマ( ,)がつく。
制限用法
The eyeglasses which are made in Japan are cool. (他の国の眼鏡に対して)日本製の眼鏡はカッコいい。
非制限用法
The eyeglasses, which are made in Japan, are cool. その眼鏡(日本製)はカッコいい。
こちらは、その眼鏡に対して「ちなみにそれは日本製ですよ~」と補足説明している感じですね。他の国の眼鏡もカッコいいです。という雰囲気です。
何となく違いがつかめますでしょうか。
関係詞が疑問詞節と仲間だという考え方
そもそも、whoやwhichって、もともと中1で「疑問詞」で習いますよね。whoは「誰が~?」whichは「どっちが~?」と習いました。
その疑問詞を節に変形したのを「名詞編」で学びました。「疑問詞節が主語・目的語・補語になるパターン」
例えば
I know who killed her.(私は誰が彼を殺したか知っている) という文章は、I (主語)know (動詞)who killed her (目的語) という関係になっているます。who killed herの部分は、knowの目的語ですので、名詞ですね。名詞のところに疑問詞がついた文は「疑問詞節」と呼ばれます。
ではでは、このwho killed her、名詞だけでなく「形容詞」としても使われるのです。
それが I know the man who killed her. という文章です。who killed her自体は、上の名詞節の時と同じ形ですね。しかし、その働きはthe man (男) という名詞にくっついて説明している、つまり形容詞の働きをしているのがわかると思います。
よって、関係代名詞のwho whichはもともと疑問詞→疑問詞節として使われ、それから形容詞節(関係詞)として使われるようになったということです。
それもそのはず、なぜなら関係代名詞のwhichやwhoには「疑問詞節」の名残が残っています。理由は以下のthatとwhichの使い分けでわかります。興味がある方だけお読みいただければと思います。
(おまけ)関係代名詞のthat がwhich whoより好まれる場合
上に書いたように、関係詞はもともと疑問詞先に疑問詞、それから関係詞が順序です。
さて、関係代名詞では先行詞が人間だったらwho モノや動物だったら which と習います。そして、thatはどちらでも使えます。と習いますよね。え?それじゃあ毎回thatを使っておけばいいよね。って思いますが、実はwhich やwhoとthatではビミョ~な違いがあります。
whoとwhichはもともと疑問詞
先ほど書いたように、whoやwhichはもともとは疑問詞です。なので、「選択する気持ち」が含まれます。「誰who」だったら、たくさんの人がいる中から「誰かと言えば…」というニュアンスがあります。whichも「たくさんある中からどれかと言えば…」というニュアンスです。
thatはもともと指示代名詞
一方で、thatはもともと指示代名詞。whichやwhoのような選択の余地はなく、ダイレクトに「あれ」と言う感じで示します。
文法書を見ると「thatを使うのは先行詞に、最上級、the only、the sameなどがつく場合が多いです」と書いてあります。この理由はthatに「特定の対象を指す」という機能があるためです。「どれであるか」というwhichだとちょっと合わないですね。
切迫感の違い
では、それらをふまえて、例文で比べてみます。
(1) I lost the pen which my father gave to me.
(2) I lost the pen that my father gave to me.
両方とも「私は父が私にくれたペンをなくしました」という意味です。
(1)の文は「私の父がくれたペン 」と限定してますが、whichは選択の雰囲気があるので他にももらったペンがあるうちの1本なんだけどね~という雰囲気ですね。
(2)の文は「私の父がくれたそのペン!」という切迫感があります。thatは特定の対象を示す指示語なので、どのペンでもなく、たった一つのあのペンなんだよ!という意識が生まれます。
今日からは関係詞のwhichとthatはどっちでもいいですよ~って言いづらくなりますねよね。
(おまけ)先行詞(修飾される名詞)につくaとthe
最後に、私が高校生の時、「関係詞の先行詞の前にはいつもtheがつきます」と参考書に書いてあるのを丸暗記していました。今思うと酷い参考書だなぁと思いますが、確かに書いてありました。そんなことを丸暗記していたのも若気の至りなのですが。
しかし、なにかの問題で先行詞にaがついた文章を発見してしまい、学校の英語の先生に先行詞はtheだけではないのですか??と質問した記憶があります。
この事を考えるとき、そもそも、aとtheの違いをしる必要があります。冠詞は日本人にとって難しいですよね。冠詞は別のページでまとめます。
ざっくりいうと
a はたくさんあるうちの一つ
the は特定の一つ(話しても聞き手も共通してわかるもの)
例えば、中学生のAさんとお母さんのBさんが会話をしていて、Aさんが I want a smartphone. というと、たくさんあるスマホのうち、なんでもいいからスマホが欲しい!というような感じです。聞いてるB(お母さん)方も、iPhoneとかいろいろあるけど、とりあえずスマホが欲しいのね。それじゃ安いスマホを買うか。と思います。
一方 Aさんが I want the smartphone. というと、そのスマホというように、AさんとBさんが共通して認識しているスマホを指します。よって、さっきまで話していたiPhoneのことなのね、とB(お母さん)もAさんも特定のスマホを認識しています。
話を関係代名詞に戻します。
Do you know a boy who lives in Fukushima city? (福島市に住んでる男の子を知ってる?)と聞くと「(誰でもいいけど)たくさんいる男の子の中で福島市に住んでる男の子を一人してる?」というニュアンスです。結構漠然としてますね。
では
Do you know the boy who lives in Fukushima city? (福島市に住んでる男の子を知ってる?)と聞くと、質問者も聞き手も、ある程度具体的に「その男の子」という特定の人物をイメージできていて、「福島市に住んでる、例の男の子知ってる?」となるわけです。
先行詞には必ずtheがつく、と書いてある受験用の参考書がいかに乱暴かわかりますね。
かなり長くなってしまいましたが、今回の話は以上になります。今回で形容詞シリーズは終わりです。後置修飾はマスターすると4技能がとても楽になります。次回からは最後の副詞編に進みます。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございます。