今日は「現在完了形」です。
さて、中学1年生で初めて英語を習う子ども達は、簡単な挨拶や、be動詞(I am~)のような簡単な英語からスタートするので、わりと点数がとりやすく、英語って簡単だよね!っていう認識で中2に上がると思います。
中2の最初もbe動詞の過去形なので、英語って簡単だね!のノリなのですが、次の不定詞あたりから「え、急に冷たくなったのね」と裏切りの境地に至ります。次の動名詞で不信感は高まり、中3の受動態でこれなら大丈夫、まだやり直せる!と希望を持たせたと思いきや、次の「現在完了形」で、「やっぱりだよ!もう勘弁してよ!」と青少年たちの我慢が限界を迎える・・のが一般的?な英語嫌いを生む流れではないでしょうか。(たぶん)
I lost my key. I have lost my key. の違い
前置きが長くなりましたが、現在進行形がわけわからないのは何故でしょうか。おそらく日本語にはない概念だからでしょう。
例えば、I lost my key. と、I have lost my key. という文を訳しなさい、という問題があったら、両方とも「私は鍵を無くしました」という意味になるわけです。「現在」完了といいながら「過去」形の訳じゃないか・・・もう誰も信じられない・・と中学生が混乱するのも無理はありません。しまいにjustとかalreadyがついたら完了ってことね!と無理やり自分を納得させることになります。
現在完了は、「現在」のことを言っている?
そうです、現在完了は「現在」に意識が向いているのです。
「え、さっき、無くしたって過去の意味だったじゃないか嘘つき!」との声が聞こえてきますが、ちょっと待ってください。鍵を無くしたのは無くしたのですが、「今現在も無くした状態でいる」という意味なのです。「無くした」という過去の事実が、「今」に影響を与えているわけです。これが完了形のミソです。
よって、I have lost my key.の意味は「私は鍵を無くしました。(そして現在も無くしたままです)」
ということです。
それでは、過去形は?というと、過去のある時に鍵を無くしたという事実を伝えているだけで、「現在、鍵が見つかったのか、見つかってないのか、まではわからない」、ということです。それが上の二つの例文の違いです。
完了の有無で受け取り方が変わる。
さて、ある青年に気になる女子がいたとします。その女子がI have broken up with my boyfriend...と、いうのとI broke up with my boyfriend..と言われたのでは取り方が変わるんですよ。
日本語では、どちらの英文も「私、彼と別れたの。。」なので、それを聞いた青年は(え、今はフリーなのかな、、新しい彼氏がいるのかな、、、)と考えるわけです。まさに空気を読む、察する文化!英語では、I have broken up with my boyfriend... と言えば、「私は彼と別れました(今もその状態が続いています)」という風に、今の状態も表現できるのですね。青少年も迷わずアタックできるわけです。完了形は便利ですね。
もう1つの例は、例えば「オーストラリアに行って、貴重な思い出になりました。」と言いたい時、完了形を使わずに I went to Australia and it became a very precious memory. と表現した場合、「貴重な思い出になりましたが、今現在はそうでもないかな。」という感じで伝わってしまう可能性があるそうです。なので、it has become a very precious memoryと言えば、今も大事な思い出として残っています。と伝わるのです。完了形は便利ですね。
完了形と一緒に使えない副詞
完了形というと、高校生は「完了形と一緒に使えない副詞」なんて習うのではと思います。例えば、過去を表すyesterday とかtwo weeks agoのような副詞です。現在完了は意識が「現在」にあるわけですから、yesterdayのような言葉は相性がわるいですよね。
have空間
それでは、なんで完了形はhaveなんて単語が使われているのか?という話です。そもそも、haveの持つコアの意味は「何かを自分のところに持つ」です。
大事なのは、この「持つ」というのは「物」を所有するだけでなく、「経験」を持つという意味があるということです。
つまり、I have lost my key.の文であれば、「鍵を無くした(lost my key)」という状態を現在haveしている(持っている)という認識です。こういうのをhave空間、とか呼ぶ人もいるようですが、このhave空間が便利で、使役や分詞でててくるhaveの用法も同じ考え方で理解できます。その話はまた別の記事で書きます。
用法の丸暗記はやめましょう
最後に、学校では現在完了の用法として、①完了②経験③継続の用法を習うと思うのですが、全部同じ理屈で理解すればよいと思います。
①の完了であれば、上で書いた I have lost my key.です。「鍵を無くした(状態を今持っている)」でしたね。②の経験も過去の出来事を「今現在」経験として持っている、ということです。③の継続は、過去の一点から「今現在」までずっと継続している、ということですね。基本はすべて同じです。過去のある時にあった事が、「現在」に迫ってきて影響を与えているイメージで捉えればいいのではないでしょうか。
現在完了で悩んでいる方の理解の足しになれば幸いですが、それより先に毎日できるだけ英語を耳から聞いて、好きな英語の文章を多読するのをお忘れなく。そっちの方が大事ですものね。