haveという単語は、もちろん「持っている」という意味の基礎単語です。中1でも知っています。
けど、英文法を学びだすと、現在完了、使役、助動詞…で意外にhaveが出てきて、haveって何者なのだろう…と思う方もいると思います。
今回は、そんな不気味なhaveについてまとめます。
haveのコアイメージ
haveと聞いて思い浮かぶのは「持っている」という意味だと思います。
例えば…① I have a brother. (私には兄弟がいます。)② Do you have the time? (何時ですか?) こういう場合は「持っている」で納得できるかと思います。
しかし…
③ I have a cold. (風邪をひいた)④ I had a good time. (いい時間を過ごしました)⑤ Would you like to have dinner together? (一緒に夕食食べませんか?)
「持ってる」だけじゃないの??!!と、この場合、風邪をひく、(時間を)過ごす、食べる…などとそれぞれ暗記しようとすると辛いですよね。
まず、haveのコアイメージを知ると、この混乱を少しは統一できるかとおもいます。
haveの本質的な意味合いは↓の絵のような感じです。
haveという空間を人が持っているイメージで、have空間は「所有と経験」があります。所有は「モノ」を持つ、経験は「出来事などのコト」を持つ、とイメージしてください。
つまり、上の例文の①と②は所有空間、③~⑤は経験を所有しているということになります。
③風邪をひいた、という経験をhaveしている。④はいい時間という経験をhaveしている。⑤は食事をする時間を経験として持つ、ということになります。
と、考えると、eat と have もちょっとニュアンスが違いますよね。eatは「食べる」という行為にフォーカスをしているのに対し、haveは「食事の時間という経験」にフォーカスしていると言えますね。「複数で食べるときはeatよりhaveのほうがいい」というのはこの辺りが理由になります。
それでは、haveのコアイメージを理解して頂いたところで、学校で習うhaveの構文も同じように見ていきます。
have完了形
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例文でいうと
① I lost my cap. 私は帽子をなくした。
② I have lost my cap. 私は帽子をなくした。
両方「なくした」という同じ訳です…完了形ってなんなの!?と思うとおもいます。
こんなとき、have空間を思い出してください。「経験」をhaveする、でしたね。
つまり、「帽子をなくした」という「経験」をhaveしているのです。
よって、上の例文の大きな違いは…
① I lost my bag. (過去形=過去にフォーカス) 私は(過去のある一点で)帽子をなくした。(今は見つかったのか、まだないのか不明)
② I have lost my cap. (現在完了形=現在にフォーカス) 私は帽子をなくして、今現在も帽子をなくした状態が続いている。(今現在帽子がない)
これが大きな違いです。haveは「経験」を今,haveしています。
同じように、継続用法だと、I have lived in Tokyo for 2 years. 私は東京に2年住んでいます。 これも「2年間東京に住んでいる」という「経験」を現在haveしているのです。
have使役動詞
haveが「経験」を持つとイメージできると、使役用法も同様に考えることができます。*使役、というのは、○○(人)に△△をさせる、という表現です。代表的な動詞はmake,have,letなどがあります。
I will have him call you back. 折り返し、彼に電話させます。(あなたに、彼に電話させます)
電話がかかってきて、「彼が帰ってきたらかけなおさせまーす」という場合に、使役のhaveを使うのですが、「him call you back」というコト(状況)をhaveする予定ですよ。という表現です。have dinnerと同じように状況を空間にhaveする、というイメージです。
makeとの違いは
それでは、似たような表現でmakeの使役動詞がありますね。どう違うの??という問題ですが、makeのコアイメージを知ると納得できます。
makeのコアイメージは、「形を変えて何かをつくる」です。 〇→人の手を加える→△のようなイメージ。
先ほどの例文をmake に変えると…
I will make him call you back. 彼に電話させます。となりますが、彼が電話しない状況に働きかけ、「電話する」状況に変えた、というニュアンスです。よっぽど電話嫌いの人に電話させるとか、嫌いな人に電話をする状況かわかりませんが、とにかく、「強制」のニュアンスを与えてしまいます。折り返しさせます、というときに「強制」のニュアンスをだすのは相手にも失礼な感じですよね。
選び方は簡単! have₊目的語₊~ing, 過去分詞の have構文
haveで混乱するのは、いろんな「構文」が出てくるのが大きな理由です。haveの後は、原形、~ing、過去分詞…全部暗記するの??使い分けは??と混乱するのも無理はありません。
have空間を理解できた今、恐れることはありません。
前提として、いつも出てくる~ingと過去分詞の違いをもう一度確認します。分詞をおもいだしてください。
現在分詞(ing)は、活動、動作が行われている真っ最中という「躍動感」
過去分詞(ed)は「~された」という「受け身」
原形のパターンは使役で説明しました。似た表現で~ing と過去分詞のパターンを覚えましょう。
have₊名詞₊ing
I can't have him talking like that. (あんな言い方は許せない)
わかりにくい場合はtalking の前に be 動詞を入れてみましょう。 I can't have him be talking like that. この~ingは進行形と理解できるかと思います。~ingは躍動感です。よって、今目の前で「話している」(him be talking like that)という状況をhave空間にhaveできない(許せない)。ということになります。
him(彼)は今、talking(話している)真っ最中、という感じです。使役と似てますが、「進行中」のニュアンスを出すのに~ingを使います。
I have a taxi waiting. タクシーを待たせている。 のような例文も、タクシーは今現在待っている状態(進行中)をhaveしている、という意味です。
have₊名詞₊過去分詞
I had my wallet stolen. 私は財布を盗まれた。
この場合、stolen は過去分詞です。 my wallet (私の財布) は「盗まれた」受け身です。財布が何かを盗むことはありませんよね。ですので、受け身の形をします。財布を盗まれた状態をhave空間に持っている、というイメージです
同じように、I have my hair cut. 私は髪の毛を切ってもらった。 このcutは過去分詞です。cut は過去形も過去分詞形もcutです。 よって、私の髪の毛を切られた(切ってもらった)状態をhaveしている。ということです。
財布のように「被害」なのか、髪を切ってもらった、ように「受益」なのかは文脈で判断する必要があります。
私は髪を切った。といいたいとき、 I cut my hair. と言いたくなりますが、これだと私は(自分で)髪の毛を切った。という意味になってしまいます。
have₊名詞₊形容詞
We have a room clean. 私たちは部屋を綺麗にしています。
これは部屋がきれいな状態(clean)をhaveしている。という状態です。a room is clean のis が消えていて、clean は普通の形容詞です。
すべてhave空間に経験を持つ、という解釈で理解できるかと思います。ingか、過去分詞か、という問題は、「~している(進行中)」なのか「~されている(受け身)」なのか、分詞の時と同じ考え方です。
ing と 受け身の考え方は知覚動詞でも応用できますので、別記事でまとめます。
助動詞のhave to
最後に、have to doで、~しなければならない、という助動詞も知っている方も多いかと思います。
I have to study hard. 一生懸命勉強しなければいけません。
to のコアは「何かの行為に向いている、向き合っている」という意味です。よって、「to do はこれからすること」という意味です。例文だと、勉強する、という行為に向いているイメージです。勉強をすることになっているので、しなくてはなりません。という「客観的」な雰囲気です。
もうお分かりかと思いますが、これからすること(to study hard) という経験を所有(have)しているとご理解いただけると思います。
mustとの違い
you have to study. というと、(客観的に見て、勉強しなきゃだめですよ)という意味です。 you must study. というと、(どうしても勉強しなければだめだよ!)という切迫感があります。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。