言い換え表現は英文法によくありますが、「似て非なるもの」パターンも多いですよね。例えばwillとbe going to、must と have to、いろいろあります。willとbe going toはちょっとニュアンスが違います。
今回は、「関係代名詞のwhichはthatと同じか?」というテーマで書いていきます。
関係代名詞についての全体像は…
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形容詞編 その5 後置修飾④ 関係詞
いよいよ後置修飾も最後になりました。今回は一番苦手な人が多い、「関係代名詞」です。 形容詞って??という方は形容詞の全体像をご覧ください。 前回までの記事…形容詞編その1:分詞・動名詞 形容詞編その2 ...
今回は、関係代名詞についての基礎は知っている前提で書かせて頂きますのでご了承ください。
関係代名詞で、先行詞は人の時はwho、モノの時はwhich、thatはどっちでも使える、と教わりますね。そこで疑問に思うのは、whichとthatは同じように使っていいのか?という謎です。
そんなこと気にせず、どっちでもいいから使えばいい、と言えばそうなのですが・・・そうとも言えないパターンもあるので、注意が必要です。
そもそもwhoが使えず、thatを使う場合
関係詞が補語の場合
まず初めに、関係詞が「人」でもあまりWhoが使われない場合です。え、そんなこと有り得るの?と思いますが、あるんですね。
それは、関係代名詞が「補語」の場合。例文を見てみましょう。
まず、普通のwhoが使われる場合。
ポイント
① I know the man who is playing the guitar. 私はギターを弾いている男を知っている。
これは、関係代名詞が「主語」になる場合です。もともとI know the man + He is playing the guitar. という2つの文があって、man と共通するHeを消して、who という関係詞を接着剤にしてman という先行詞の後にくっつける・・・というのがざっくり関係詞の使い方でした。
共通する「He」は主語として使われています。なので、この例文は関係代名詞の「主格」です。
では補語の場合は?先ほどは共通部分が「主語」でしたので、それが「補語」になるパターンです。
② He is not the honest man that he used to be. 彼は以前のような正直な男ではない。
もともとの文は・・・He is not the honest man + he used to be the honest man. honest man(親切な男)というのが共通なので、消して、who か that の関係代名詞に変えます。
manは「人」なので、who なのですが、honest manは「補語」です。よって、who ではなくて thatにするわけです。
補語はthat で覚えてもいいのですが、なぜthatなのでしょう。
①と②の違いを考えると、主語と補語、という違いもありますが、①は多くの男から、「その男(ギターを弾いている男)」と断定できますよね。「ギターを否定いている男」は=the man(その男)そのものです。
②は、同一人物のことを言っているとはいえ、その人そのものではなく、「性質・人柄」のことを言っています。このように、その人そのもの、というより、職業や性格、性質の場合は制限用法ではwhoではなくthatが使われます。
He is a doctor, which his father is not. (かれは医者だが、彼の父は違う)のように、先行詞が人でも「職業や人柄」の時、非制限用法ではwhichが使われますので要注意ですね!
*thatは制限用法のみで使われます。
先行詞が最上級、強い限定を持つ語などの場合
先行詞が最上級、強い限定を持つ語などの場合、thatが使われます。
具体的には・・・
which ではなくthatが使われる場合
先行詞が:最上級、everything, anything, nothing, 以下の語で修飾されている(the very, the first (last), the only, every, all, no, some, any, few, little, much, most, )
なんでthatなのか??というと、thatの関係代名詞とwhichやwhoの関係代名詞の由来の違いがキーだと思います。
thatは、who/whichと違い、「指示語」をベースに由来しています。which やwhoは・・「疑問詞」ですよね。疑問詞は、「選択のニュアンス」があります(その中でも、それ / 誰かと言えば・・)のようなニュアンスです。
一方、thatは指示語ですから、「あれです!」というように何かを指さしている(指示している)ニュアンスがあります。
そう考えると、先行詞が最上級、the first、onlyなどの限定語がつくときはthatがいい理由もわかりますね。
例えば、最上級は「一番」という表現ですから、「それ!」と限定できますよね。onlyも、たった一つ・・と言っているわけですから、「選択」ではなく、「それ!」って決まります。ですので、that の方がいいわけです。
ニュアンスでwhich ではなく、thatを使い分ける例
そう考えると、先行詞やonlyなどがつかなくても、会話の流れでthatを使うパターンも出てきます。例えば…
which / thatの使い分け
(1) I lost the pen which my father gave to me.
(2) I lost the pen that my father gave to me.
両方とも「私は父が私にくれたペンをなくしました」という意味です。
(1)の文は「私の父がくれたペン 」と限定してますが、whichは「選択」の雰囲気があるので、他にももらったペンが何本かあるうち、その中の1本なんだけどね~という雰囲気ですね。
(2)の文は「私の父がくれたそのペン!」という切迫感があります。thatは特定の対象を示す指示語なので、どのペンでもなく、たった一つのあのペンなんだよ!という意識が生まれます。遺品や形見として持っているペンのような雰囲気の時にはthatの方がいいですね。
いかがでしょうか。
限定語の時のthatなどは、受験やTOEICなどの試験でも頻出ですね。このような語感を磨くと英語力がワンランクアップしますので、意識してみてはいかがでしょうか。