to と for という前置詞があります。
どっちも「~へ」という意味じゃないの?と思うこともありますよね。
例えば、to と for で悩むのは第4文型から第3文型に書き換えるときです。
I gave him a book.(第4文型)→ I gave a book ( ) him. (第3文型)さて、( )の中はto? for? という問題です。
to か for か…中には、to の動詞はgive, teach, show… forの動詞はbuy, make…のように暗記していませんか??
同じように、thanks to なのか、thanks for なのか… This is good for me. なのか good to me. なのか…「申し込む」はapply for なのか apply to なのか…
今回はto と forの謎に迫り、この丸暗記の必要をなくします。
to と for の簡単なイメージ
toのコアイメージ
to のコアイメージは↓の図です。
例えば、give, teach などは「その動詞が表す行為」をするのに、到達する「相手」が必要になります。詳しくは下にもう一度ご説明いたします。
forのコアイメージ
for のイメージは↓の図です。
forのイメージは、目的地に到着していません。あくまで、対象の場所に向かっているイメージです。
たてとえば、新幹線に乗っていると聞こえてくるアナウンス。 This train is bound for Tokyo. (この電車は東京行きです。)電車はまだ東京に「到達」しておらず、「向かっている」状態ですよね。よって、forの方がいいわけです。
to と for 事例
それでは、to と for のコアイメージをつかんでいただいたところで、具体的な事例を見ていきたいと思います。
go to か go for か?
まず、わかりやすい例から。
① I go to the doctor. (医者に行く) ② I go for a doctor.(医者を呼びに行く)
上の2つの文の違いですが、①の文はtoを使ているので、「到達」しているイメージです。お医者さんのところにもういるよ、という感じです。
一方で、②は、まだお医者さんのところに到達しておらず、お医者さんの方に「向いている」だけ。よって、「呼びに行った」という意味になります。
それでは…She went to school at 8 o'clock. (彼女は8時に学校に行った) さて、この文、学校に「着いた」のが8時でしょうか。家を「出た」のが8時でしょうか?
toは「到達している」イメージですので、学校に「着いた」のが8時、ということになります。
apply to か apply for か?
「apply」という単語がありますが、意味としては「申し込む」「適用する」です。「申し込む」という場合、to か for か??で悩みますよね。例えば…university (大学)にmaster's program (大学院)コースに申し込みたい。というとき。
I will apply ( ) the university ( ) a master's program. 私はその大学に大学院コースを申し込みます。
( )には for か to が入ります。 どっちも for ? to ? どっちかが to で、どっちかが for でしょうか??
この問題も、to と for のコアを考えましょう。
apply to の後は、「出願先」の人、場所が来ます。なぜなら、to は「到達」しているイメージですから、申込書を自分のところから「具体的などこか・だれか」に到達させたい(届けたい)のでtoを使います。申込書を一生懸命書いて、大学に届けたいのに、forだったら向いているだけで届かないですよね。
つまり、「申込書を大学に届ける行為」なので to が合いますね。 apply to the university です。
apply for の後は職業、部署、奨学金、入学のような目的、仕事内容などが来ます。目的やポジションって、ハッキリ形がないので、物理的に到達する対象ではないですよね。入学も目的です。よって、向いているだけのfor の方が合います。
例題を見ると、「大学院入学」は残念ですが入学を許可されない場合がありますよね。なので、「到達」している to は合いません。まだ応募の段階では「向いているだけ」です。
ですので、apply for a master's program ですね。
よって、先ほどの答えは…I will apply to the university for a master's program. です。
同じような例題をもう一つ。 I will apply ( ) a hospital ( ) a job as a nurse. 私は病院に、看護師としての仕事に申し込みます。
もうわかりますね。hospital (病院)には書類(申込書)を届けますので、これは「到達」させなければなりません。よって、 to hospital そして、看護師としての仕事は、必ずなれるわけではありませんね。今の段階では看護師の仕事には「向いている」ので、for a job as a nurse になります。
よって、I will apply to a hospital for a job as a nurse. となります。
thanks to か、thanks for か?
同じように、英語学習者を苦しめるのが、thanks for と thanks to ですね。
① Thanks to him, I could get a job. 彼のおかげで、私は仕事を得ることができた。
② Thanks for helping me. 助けてくれてありがとう。
thanks to と thanks for の違いについては難しいですが、ちょっと無理やりですが to for の違いで考えてみましょう。
thanks to は 「~のおかげで、~が原因で」のようなニュアンスです。 thanks for は○○に対して、ありがとう。という感じです。
①の文は、him (彼)が get a job(仕事を得ることができた)という結果に直接関係している(到達しているイメージ)ができると思います。彼の存在が、仕事を得た、という目的に到達するのに必要だったイメージです。よって、to は「~のおかげで」という意味になります。
②のthanks for は helping me という行為に「向かっている」というだけです。相手が必要ではなく、「向いているだけ」ですので、for は「~をありがとう」というニュアンスになります。
4文型から3文型の書き換えの時の「to for」の使い分け
それでは、最後に、to と for のコアイメージをつかんでいただいたところで、第4文型から第3文型の書き換えを見ていきましょう。
よく、受験英語で出てくるパターンです。She gave me a pen. 彼女は私にペンをくれた。 を、She gave a pen ( ) me. のカッコの中は、to? for? というやつです。
私も受験生の時やりました。当時は、to をとる動詞、とか言って、give, teach, show… for は buy, make…などと暗記していました。無駄だった…
それでは、上の例題を考えてみましょう。gaveはgive の過去形。「与えた」という意味です。何が言いたいかというと、penはshe (彼女)から me (私)のところに「渡っています(到達している)」よって、to を使います。
同じように、He teaches me English. (彼は英語を私に教えます)は?というと、English (英語)を私に教えるということは、英語の勉強内容は私に「到達」していますよね。ですので、He teaches English to me. と、なります。
それではfor は??というと。He bought me a Nintendo Switch. (彼は私に任天堂スイッチを買った)となります。「買った」という行為だけで、任天堂スイッチは、まだ私の手元に届いていませんね。なので、買った時点では私の方に向いているだけですので、for になります。
She made me a cup of coffee. (彼女はコーヒーを私にいれてくれた)の場合も同じですね。コーヒーを作る(入れる)段階ではまだコーヒーは私に到達していません。よって、She made a cup of coffee for me. となります。
to と for は結構ややこしいかもしれませんが、基本は簡単です。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。