先日、妻が「面白い番組録画したから、見てみて」といってきました。マツコの知らない世界、とかいう番組で、「蚊」の研究をしている、という若者がゲストで出ている番組でした。

蚊を極めた青年

部屋は蚊の入った段ボール箱で埋め尽くされていて、「変わった子だね~」といいながら見ていました。世の中には色んなマニアがいるものだ。と、思いながら見ていましたが、この青年、ただの蚊マニアではありませんでした…足の裏の常在菌が多いと蚊に刺されやすい、という法則を見つけ、科学関係の賞を受賞したそうです。さらにさらに、高校を卒業したら、コロンビア大学で脳科学を学ぶのが決まっているのだとか。ハエの脳を研究するそうです。将来的にはそれを蚊に応用し、病気の媒介などで年間80万人を殺している「蚊」の問題を解決したいのだそうです。好き、という原動力は凄いところまで人を押し上げるんだな~と思った次第です。

ちなみに、この高校生、アメリカ、シンガポールで中・高は過ごしているようです。もし彼が日本の学校で教育を受けていたら、と考えるとどうでしょうか…同じようにコロンビア大学に行っていたのかもしれませんし、もしかしたら「そんな蚊のことばっかり考えてないで、受験勉強しなさい」といわれていたかもしれません…

学びの本質とは

堀江貴文さんが、著書(すべての教育は洗脳である)のなかで、学びの本質は「没頭」である、と書かれていました。物凄く共感できます。「没頭」という言葉を見て、これこれ!と声がでそうになりました。いや、出ました。

学びは「没頭」だとすると、対象は5科目だけでなく、世の中のすべてになります。先ほどの「蚊の青年」のように、未知の領域に足を踏み入れ、全て自分で切り拓いていく営みだと堀江氏は述べています。中2の生徒が「中2の夏休みは宿題と部活だけやればいい」と学校で言われました…と言っていましたが、とんでもない!いろいろ経験して、没頭できる学びを見つけてほしいと思います。学びの場所は人生のすべて。課題が無くても正解が見つからなくても没頭する対象があれば全て「楽しい」。

一方で、「お勉強」は逆です。場所は学校や企業に限られ、態度も「受動的」。決まった正解とカリキュラムに沿っています。堀江さん曰く、「お勉強で身につくのは、敷かれたレールにのる習慣だけ」とのこと。こうなると自分で行き先を決める生き方はできないそうです。なぜなら、「与えられた課題をこなし、大人に認められること」だけが目的になっているからです。

塾でも「没頭」しているタイプは小学生に多く、頼まなくてもどんどん洋書を読むし、当然ながら英検も次々と受かっています。中学生でもたまに没頭系の生徒がいて、志望校は?と聞くと「わかりませ~ん」といいながら3時間の授業で英語に没頭しています。志望校のための勉強ではないので、レベルなど関係なく難関な長文も抵抗がありません。ウザワオリジナルの文法書はどこが重要なのか不明なくらい線が引いてあって、付せんだらけになっている生徒もいます。それをみると、「いい感じに没頭しているね」と私はニヤニヤしてしまいます。

こういうことを書くと「極端」だと思われるかもしれませんが、これからの時代、義務教育のようにオールB人材を目指すより、蚊の青年のように好きなことを極めた方がよっぽど成功できる時代になるのではないでしょうか。

私の英語の没頭

自分のことで申し訳ないのですが、小3くらいでローマ字を習ったときに、アルファベットで自分の名前が書けることに感動したのを覚えています。英語を学び始めたのは小6くらいでしたが、ちょうどその頃、ビートルズにハマりだし、その延長で英語に没頭しました。

中,高と英語に没頭していたので、親は私が勉強を好きだと思ったのか、「勉強しろ」とは一度も言われたことがありません。しかし、実際は鉄道マニアが駅名を覚えるように、英単語やら構文を暗記していただけでした。英文法も、よく「文法マニアになっても仕方がない」とかいう日本人が多いですが、こっちは「好きだからやらざるを得ないんです!」という感じです。マニアックな文法知識に出くわすとワクワクして仕方がありません。文法のルールやつながりが見えてきた時は特に楽しかったです。

もともと好きなことしかしないタイプなので、机に向かっている時は英語しかやっていないと親が気づいたのは、高校時代に数学でとんでもない点数を取った時だったのかもしれません。学校の先生は、他の教科も伸ばさないとダメだ、といったことを仰っていましたが、全て無視しておりました。特に理科なんて、中学レベルでもいまだに生徒の質問に答えられません。それなのにこの年になると「量子力学」などの学問に興味津々でハマっちゃうのが不思議です。

大人になって、英語を教えるなら英検を取るか、と始めた英検1級の勉強もかなりハマりました。それも、堀江貴文さんがいうように、「自分で決めたから」。もし、塾を経営するなら英検1級くらい必要だから、取りなさい、と誰かに言われ、「この単語集を覚えなさい」と単語集を与えられ、一日10個覚えなさい、と命令されたら、絶対没頭できなかったと思います。自分だけの幸福を追求できたから没頭できたんですね。

あまりに夢中で、子供と公園に行くときも単語集を持っていました。よく妻が「公園に行く時くらい英語の本を置いていったら?」と言われたものです。今思うと、子供が遊んでいる横で単語集をガン見しているのも、かなり変な大人だと思います。おかげで単語集はボロボロになりました。

ちなみに英語以外に没頭したのは「現代文」です。「論理的思考」の面白さを教えてもらい、かなりハマりました。没頭したおかげで英語と現代文はかなり伸びました。ちなみに、大学受験で合格した大学は、「英語と国語」の2科目受験…大学院では「会計」の授業が少しプレッシャーでしたが、「ファイナンシャルカリキュレーター」というマニアックな電卓があったおかげでパスできました。好きなことだけやっても、あまり困ったことは起こりません。

大人になっても色々とハマって学んでいます。学びは本当に楽しいです。

塾の目的

と、言うわけで長くなりましたが、塾では1か月後の定期テスト、問題集がなければできない「お勉強」ではなく、英語という未知の言語に没頭してほしい!と心から願います。

塾は英語好きな子供たちが英語に没頭する場所になってほしい。それが5教科の塾ではなく、英語と国語に特化した塾である理由です。私がこのようなタイプなので、類は友を呼ぶ、の法則で英語が好きでたまらない生徒に多く出会いたいとも思います。

受動的なお勉強の場所ではなく、能動的な学びの場にしていきたいと思います。そのために、「英語は難しい」「英語は勉強するもの」という嘘の洗脳を解き、「英語を話せるようになりたい!学びたい!」と自分で行き先を決めて塾に来た子供たちの欲望にブレーキをかけず、アクセルだけを踏ませたいと思っています。